ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
若いメンバーで臨んだ4×100mリレー。
「悔しい5位」がもたらす大きな財産。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/08/12 13:30
男子4×100メートルリレー決勝に臨んだ日本代表メンバー(左から順に、山縣、江里口、飯塚、高平)。唯一の五輪経験者である高平は、「この悔しい思いを今後の糧にできれば」と語った。
予選ほどスムーズな走りにならなかった決勝。
江里口は言う。
「山縣が自分の走りに徹しているのを見て、すごいと思いました。山縣の走る前の状態を見習いながら、僕も自分の走りをしなければいけないと考えていました」
高平も予選後に言った。
「(山縣が100mで準決勝まで行って)起爆剤になったのはたしかです」
それが予選での好走となったのである。
期待が高まる中で迎えた決勝。日本は4レーン。4位で決勝に進んだことから得られた位置である。だが決勝は、予選ほどスムーズな走りとはならなかった。
「バトンのパスが、1走から2走と、3走と4走でつまりました」と高平が言うように、タイムは38秒35。予選よりも0秒28遅いタイムにとどまった。
明るい話題の少なかった陸上界にあって、リレーが示した存在感。
レース条件はそのときどきで異なるから、単純にタイムを比較してはいけないかもしれない。ただ、3位のトリニダード・トバゴは38秒12。予選のタイムであれば、表彰台であった。
予選よりもタイムを落としての5位。だからこそ、皆が異口同音に、「悔しい」と口にしたのだろう。逃したメダルが惜しくもある。そんなレースだったと言える。
ただ、全般に、明るい話題が多いとは言えなかった陸上にあって、存在感を示したのはたしかだ。
そして、あらためて振り返ってみても、今シーズンの出来を考えれば、これまで3大会続いた決勝進出を継続したことは今後につながるはずだ。