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世界の壁に何度跳ね返されても……。
福士加代子が語る再挑戦への思い。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTetsuya Higashikawa/JMPA

posted2012/08/12 14:50

世界の壁に何度跳ね返されても……。福士加代子が語る再挑戦への思い。<Number Web> photograph by Tetsuya Higashikawa/JMPA

30歳で迎えた3度目のオリンピック。「もう一回走りたいな」と語った福士だが、4年後のリオ五輪を目指して挑戦を続けるのか、注目が集まる。

 トラックの長距離種目、そして今大会の女子マラソンが象徴するように、これらの種目は、東アフリカ勢が席巻している。特にトラックでは、以前からそうした傾向が続いてきた。

 その流れに真正面から立ち向かってきたのが、福士加代子である。

 2002年の日本選手権5000m、10000mで初優勝し、世界選手権には'03、'05、'07、'09年と計4度出場。'09年の10000mで9位の成績を残している。そしてオリンピックにはアテネ(10000mで26位)、北京(5000m予選落ち、10000mは11位)に出場した。

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 これらの実績が物語るように、日本女子長距離トラック種目の第一人者として、戦ってきた。

 そのたびに、海外の選手、とくに東アフリカ勢に跳ね返されてきた。

 今度こそ。

 そんな思いで臨んだのが、3度目のオリンピックだった。

日本の3選手の飛び出しに「JAPAN!」アナウンスが連発。

 8月3日。福士は、出場する2つの種目のうちの最初の種目、10000mを迎える。

 このレースには、福士のほか、新谷仁美、吉川美香が出場していた。

 スタート。しばらくすると、スタンドからどよめきが聞こえる。日本の3選手が一体となって、引っ張ったのである。スタジアム内に響くアナウンスも、何度も「JAPAN!」を連発し、その驚きを伝えていた。

 それは3000mあたりまで続いた。

 流れを作ったのは、福士だった。

「チームの監督が日本で、『位置取りをうまく取って、レースを作っていってみては』と言っていたので、先陣を切って行ってしまいました」

 吉川も、レース後にこう振り返っている。

「福士さんが先頭を切ってくれたので、ついていこうと思いました」

【次ページ】 5000m予選、作戦通り終盤近くまで先頭を守ったが……。

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