ロンドンで人々の心に刻み込まれた“理恵の笑顔”。

　その後に行われた個人総合でも、理想の演技には届かなかったが、8位に終わって悔し涙に暮れた団体総合とは違う表情が浮かんでいた。

「後悔はない。今はすっきりしています。今できることを必死に、精いっぱいやることができました」

　周囲の人々への感謝の言葉も自然と口を突いた。

「25歳まで体操を続けてきて、オリンピックの会場で、応援してもらえる声を聞いたときに、本当に体操やってて良かったなとあらためて思いました」

　初めて世界選手権代表になった'09年から、遅咲きのヒロインとして注目され、持ち前の笑顔で体操ファンを増やしていった。そして、'12年夏。“理恵の笑顔”はロンドン五輪のさわやかな風に乗り、人々の心に刻み込まれていった。