ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
王者・中国と日本は何が違うのか?
体操男子団体の敗因から徹底分析。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/08/05 08:02
「中国を超えるのは難しい」と悔しさを滲ませコメントした内村(写真中央)。団体戦後の、個人総合金メダルに対しては中国メディアからも絶賛されていた。
エースの内村航平は「最初4位と表示されて、今まで何をやってきたんだろうと思った。2位に上がっても、メダルが取れたという気持ちにはならなかった」と唇をかみしめた。
7月30日に行われた体操男子団体総合決勝。アテネ五輪以来2大会ぶりの金メダルを目指し、『打倒中国』を合い言葉に北京五輪以降の4年間を過ごしてきた日本が、またしても中国に敗れ、2大会連続で銀メダルにとどまった。
アクシデントが多発した試合だった。
予選5位の日本は、1種目目のつり輪を無難にまとめてまずまずの滑り出しを見せたが、2種目目の跳馬で、最終演技者の山室光史が着地に失敗して左足甲を骨折する。
得点は成功時に比べて約2点低い14.033。2種目終了時点で、日本は中国に逆転を許し、さらに、内村に続く2番手選手の山室を欠くことになった。
苦しい展開が続く中、どうにか大崩れすることなく演技を進めていった日本だが、山場となった5種目目のゆかでは大きくつまずいた。田中和仁のミスが響いて、首位の中国に差を広げられてしまったのだ。
あの完璧主義者の内村が、あん馬で痛恨のミス。
そして、最終種目のあん馬である。山室に代わってあん馬を行うことになった田中和仁は、試合中の負傷によるオーダーの変更だったため、ほとんど練習する時間もなく、本番を迎えた。その影響もあって残念ながら落下。13.433という低い点に終わった。
「自分の場合、国際大会であん馬がきっちり通ったこともあるか……悔しい」
田中はうなだれた。
それでも、2人目の加藤凌平がノーミス演技で着地もきれいにまとめて14.766。最後を内村に託す。
ところが、内村は最後の降り技で大きくバランスを崩してしまった。電光掲示板に映し出された得点は13.466。
団体総合の順位は1位中国、2位英国、3位ウクライナ、4位日本と出ていた。