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“正捕手のテーマ”を自分の応援歌に。
横浜・武山真吾が扇の要になる日。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byHideki Sugiyama

posted2010/05/24 12:45

“正捕手のテーマ”を自分の応援歌に。横浜・武山真吾が扇の要になる日。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

オリジナルの新曲をリクエストしなかった理由。

 ライトスタンドから求められていた結果を残し、ついに手に入れた念願の個人応援歌。

 しかし、どうせ自分の応援歌が出来るなら、オリジナルの新曲を書き下ろしてもらいたいと考えてもいいような気もするが、武山は前出の「若菜・中村武志のテーマ」を応援曲として谷口さんにリクエストしている。なぜなのだろう? 武山はこんなことを言っている。

「この曲を使われていた中村武志さんは僕の師匠であり、目標とする選手というのもありますが、僕は名古屋の出身なので子供の頃は、ナゴヤ球場のライトスタンドでタケシさんの応援歌を歌っていましたからね。僕にとっての“正捕手”というのは武志さんなんですよ。その曲を使うことで、僕もモチベーションになりますし、ファンの方にも馴染みのある曲の方が早く覚えてもらえるから、応援してもらえるかなって」

 再び5月3日。2回の裏。

 打席に入った武山の喜びは、普段より長い打席での間合いからも窺い知れた。

 正捕手としてのステータスを得て、燃える武山。しかし直後の3回表、東出のファールチップが股間に直撃して途中交代。正捕手へ一歩近づいた記念すべき日は、かの名高き「若菜の空タッチ」が如き歴史に残る珍プレーで幕を降ろした。

正捕手の座は武山の手の届くところまで来ていた。

 今年のゴールデンウィーク。「9連戦を6勝3敗」、「4カード連続勝ち越し」、「借金1」とベイスターズファンにとっては、近年すっかりご無沙汰になった言葉がずらりと並んだ。

 それだけの結果を残せたことも、相川が流出して以来固定できなかった扇の要が、短い時間にしろ武山で決まったことと無関係ではないように思える。

 そう、正捕手の座は、武山の手の届くところまで来ていた。

 だが、いい時期は長くは続かない。

 ゴールデンウィーク後の巨人、ロッテ、西武戦で一気に6連敗。大事な場面で一発を浴びるなど敗戦の内容も悪い日々が続いた。連敗は次の楽天戦でストップするが、19日の楽天戦からのスタメンには、武山の名前が消えていた。

「そりゃ悔しいですけど、今は上の人たちが僕に考える時間をくれているんだと思うようにしているんです。僕が極度の負けず嫌いだということを知ってくれているでしょうからね。僕は、くすぶらせておくと爆発するんですよ。これまでも、ずっと踏んづけられて、溜まってきた悔しさをぶつけてきました。だから、今は溜めなきゃいけないんです……次に来るチャンスのために」

【次ページ】 「一番苦労したのも僕……ヘンな自負もあります」

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