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圧倒的有利のスペインとどう戦う?
ユーロ決勝Tのライバル国を検証する。 

text by

西部謙司

西部謙司Kenji Nishibe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/06/21 10:31

圧倒的有利のスペインとどう戦う?ユーロ決勝Tのライバル国を検証する。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

グループステージではスタメンを務めることもあったセスク。デルボスケ監督は「このチームなら1トップでもゼロトップでも大丈夫。問題なくプレーできている」と語り、トーレス、セスク、ネグレド、ジョレンテ……と豊富な人材を誇った。

原点回帰でベスト8を射止めたイングランドの内実。

 逆に原点回帰でベスト8を決めたのがイングランドだった。

 カペッロ前監督の辞任で、急遽抜擢されたホジソン監督には時間がなかった。さらにルーニーは最初の2試合に使えず、ランパードなど主力の故障も。

 まずは守備の整備、伝統の4-4による8枚ブロックを徹底させた。プレミアのスター軍団というより、泥臭い英国スタイルを復活させた。律儀なポジショニングと献身的な守備は、'90年代前半にタイムスリップしたようなサッカーである。

 戦術的には進歩というよりむしろ退歩なのだろうが、確実に効果はあった。限られた条件のなかでベストの手を打ったのではないだろうか。ここ数年の、地に足がついていないようなチームと比べたら、よほどイングランドらしい良さも出ているように思う。

 その他の8強チームについても、簡単に触れておこう。

 チェコは驚くほど平凡。ポルトガルは相変わらず巧みで、CFを欠き、守備は手堅く、すべては7番にかかっている。基本的にヘタレ体質のフランスにしては、ベスト8は満足すべき結果だろう。チームは小さくまとまってしまったが、ベンゼマには貫禄が出てきた。

 ギリシャは不気味だ。経済危機の国が強いのがユーロの定説だが、それでいけばスペインと並ぶ優勝候補になる。

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