スペインが疲れるのを待つ省エネ戦法で戦うライバル国。

　まず、スペインの手口は知れ渡っていて、対戦相手は省エネを決め込んでいる。

　中盤で追ってもボールをとれないとわかっているから、悪あがきはしないで守備ブロックを固めることに専念する。無駄に体力を消耗したりしない。足に乳酸を溜めないように守っている。そうなると、スペインはあえて相手が待ち構えている狭い場所に入っていくことになるが、相手はまさにそれを待っているわけだ。シャビ、イニエスタ、シルバからボールを奪えるとしたら、狭い場所で囲んで出口を塞いだときだけだからだ。

　もう1つ、ゼロトップはしょせんゼロトップだということ。

　狭いエリアを突破して、いざシュートとなったときの速さと強さが足りない。ボックスの中で得点を量産する生粋のストライカーとは、まさに瞬間的な速さや強さが飛び抜けている人種である。それをMFで代用すると、最後のところで強靱なDFに阻止されることが多くなるのだ。

　同じゼロでも、それがメッシなら話は別なのだが、セスクやシルバではストライカーとしての資質が足りていない。

どんなに省エネで戦っても、いつかはスペインの牙にかかる!?

　フェルナンド・トーレスを起用する手はある。ただし、彼はティキ・タカに入れない。

　シャビやイニエスタのパスを狭いスペースで受けきれるかどうかも定かでない。スペインがリードした後ならば、トーレスは最大の武器になるが、相手が引きこもっているうちはプラスもマイナスもある。

　ノックアウトラウンドはスペインに有利とも言える。省エネ戦法で戦うことによって相手が90分間では疲れなかったとしても、さすがに120分間もスペインにパスを回されればどんな相手もグロッキーになるからだ。ただ、ダビド・ビジャのいない今回のスペインはノックアウトパンチに欠けている。

　いつでも判定勝ちにはできるものの、サッカーには判定がない。

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