EURO大戦2012BACK NUMBER
「負けない戦い方」で自滅する強豪国。
混沌としてきたユーロ決勝T進出争い。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/06/15 12:50
ドイツに負けて悪夢の2連敗を喫したオランダ代表。スナイデルは「今の気持ちは、ただただ不信感があるのみだ。ピッチの上での戦い方を全面的に変える必要があるよ」と悲痛なコメント。
グループ最終節でドイツとデンマークが引き分けたら……。
オランダは最終節ポルトガルに絶対勝たねばならない。
ポルトガルも勝たねば突破の可能性が低くなる。
だが、尻に火が付いた両者の一戦がもし引き分けで終わり、“死のグループ”最弱とされながら攻撃面の戦力不足をチーム力で補ってきたデンマークがドイツと引き分ければ……。
ドイツは下馬評どおりの強さを発揮し、ほぼ勝ち抜けを決めている。あり得ない話ではない。
イングランドとフランスのグループDは、まだ第1節しか終えてはいないが、実力的に一段落ちるウクライナが現在首位に立っている。ホスト国の矜持か、偉大なるシェフチェンコを擁する自信か、スウェーデン戦でキックオフからゴールを狙いに行き、貴重な一勝を挙げたおかげだ。
現地時間今夜行われる第2節の結果にもよるが、勝ち抜け候補のイングランドかフランスがグループステージで姿を消す可能性は十分ある。
ボールを奪った瞬間、4~5人が敵陣へ猛進するロシアの凄味。
グループAも同じく混戦となっており、非常に面白い。
勝ち抜けに最も近いのは世代交代が進まず、今回は厳しいと思われていたロシア。ボールを奪った瞬間、4人から5人が敵陣へ猛進するカウンターの威力は健在で、攻撃陣にはクリエイティビティや鋭い連係もある。
対抗はチェコだろうが、こちらはロシツキー次第でパフォーマンスが大きく変わる弱点をギリシャ戦で露呈した。となると、最後まで積極的にゴールを狙う姿勢を欠いてはいるものの、グループステージを勝ち抜けるのに必要な力はあることを証明したポーランドの方に分があるかもしれない。