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柔道世界選手権100kg超級代表、
高橋和彦は重量級の救世主なのか?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byPHOTO KISHIMOTO
posted2010/05/12 10:30
国士舘大在学中は鈴木桂治(写真右)の付け人だった高橋和彦。ともに100kg超級代表に選ばれた鈴木に対し「まだまだいろんなことを盗みたい」と前向きなコメントを残した
予選落ちの悔しさを胸に、関西で武者修行をした高橋。
高橋は、昨年の全日本選手権は予選で敗れ出場できなかった。昨年出られなかった悔しさは忘れたことがないという。
そして今年4月初旬の全日本選抜体重別選手権で敗れると、全日本選抜体重別後には、練習拠点である母校の国士舘大学から、関西へ武者修行に出て、鍛え直した。その執念がそのまま見えた試合ぶりだった。勝つことへの執念をこれだけ表す選手こそ、昨今の重量級に足りなかったのではないか。
また、高橋は、技の切れに欠けることを自覚している。その上で、どこで自分は勝れるのかを考え、「体力だけは負けまい」と厳しい練習に取り組んできた。鈴木、穴井とフルに6分間戦っての決勝は体力的にきつかったと思うが、それを感じさせない決勝での試合ぶりだった。
「代表になっただけではだめです」と世界の頂点を目指す。
試合後、高橋はこう言った。
「正直、世界で戦うにはまだ力が足りません」
一方で、こうも語る。
「代表になっただけではだめです」
泥臭くとも、気迫あふれ、自身の欠点を自覚し克服しようと努めてきた柔道家が、重量級を盛り返す原動力となるか。日本柔道の首脳陣を見返すか。
世界選手権での戦いぶりが注目される。