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主力の復活と新球場の建設。
~期待膨らむマーリンズの今季~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2012/03/26 10:30
昨季はわずか9試合の登板にとどまったジョシュ・ジョンソンだが、キャンプは順調に消化。復活に期待したい。
新球場でホームとロードの“逆ザヤ”を解消できるか。
マーリンズに注目するもうひとつの理由は、新球場マーリンズ・パークの建設だ。これでようやく、フットボール兼用の醜悪なスタジアムに別れを告げられるわけだが、開閉式の屋根が付いた新球場の長所は、左中間と右中間が他の球場に比べてふくらんでいることだ。これは、レイエスやエミリオ・ボニファシオといった足の速い選手には大きな利点だろう。彼らが長打で出塁して、ラミレスやジャンカルロ・スタントン(元マイク・スタントン)が打点を稼ぐというパターンが定着すれば、マーリンズの未来は明るい。
となると、唯一の不安は、ちょっと動揺しやすいオジー・ギーエンの采配だけだが、この人もホワイトソックス時代の学習を生かす時期に差しかかっているのではないか。過去3年の勝敗を集計してみると、マーリンズはホームでの成績(115勝125敗)がロードでの成績(124勝122敗)を下回っている。通常は、もちろん逆だ。新球場の誕生でこの逆ザヤが解消されれば、マーリンズの勝ち星は10から15ほど増える計算になる。ナ・リーグ全体の混戦が予想されるなか、私はこのチームに黒三角の印を打ちたい。1997年と2003年、ワイルドカードでプレーオフに進出したマーリンズが2度の世界一に輝いたことは、いまも記憶に新しい。