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東北、北関東勢の大躍進があるかも!?
第84回センバツの有力校を全検証。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/03/20 08:02
春のセンバツの前哨戦となる昨秋の明治神宮大会は光星学院(青森)が制した。強豪が揃った東北勢が、被災地に明るい話題を届けることができるか。
復興のシンボルたる東北勢の“無形のパワー”に期待。
さて、ここまでA~Dブロックに点在する有力校をピックアップして紹介してきた。もう一度おさらいしよう。
Aブロック……大阪桐蔭、花巻東、九州学院
Bブロック……作新学院、健大高崎
Cブロック……光星学院、愛工大名電
Dブロック……智弁学園、横浜、聖光学院
この10校から優勝校が出ると予想しているが、花巻東、光星学院、聖光学院の東北勢、作新学院、健大高崎の北関東勢から複数のチームを有力校として名前を挙げたのは、近年、高校野球の勢力図が新潟勢の躍進に象徴されるように変動が目立つからだ。今大会、波乱があるとすれば、台風の目になるのは個人技を備え、勢いのある東北勢と北関東勢だと思う。
光星学院、花巻東、聖光学院の3校が準決勝に進出すれば東日本大震災で被害を被った被災地からの躍進ということで大きな話題になるだろう。阪神・淡路大震災が起こった1995年、神戸に本拠地を置くオリックスが2位ロッテに12ゲーム差をつけるぶっちぎりでパ・リーグ優勝を飾ったことがある。ユニフォームの右袖に「がんばろうKOBE」のワッペンをつけ、被災地神戸の復興のシンボルとして「優勝」という目標を掲げたことが、チームにも大きな力を与えたのである。そういう無形のパワーを私は信じている。その戦いぶりをじっくり見ていくことにしよう。