セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
無敗街道を疾走するユベントス。
王者ミランとの首位攻防戦はどうなる?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/02/25 08:02
首位ACミランに勝ち点1差で迫るユベントス。2月25日の直接対決に注目が集まる
開幕以来、26戦無敗。
ユベントスが無敗街道を突っ走っている。
セリエAだけでなくコッパ・イタリアも制さんと、その勢いはとどまるところを知らない。白熱するミランとの首位争いに、「“監督は迷走し、トッププレイヤーもいない今季のユーベはひどい”とこき下ろされていた去年の8月頃のことを考えれば、今の順位は奇跡的だ」と監督コンテも興奮を隠さない。
2年連続7位の屈辱を払拭するのは、タイトルという目に見える結果のみ。闘将と選手たちは、文字通り全力疾走を続けている。
躍進の立役者は、攻撃のタクトをふるう新司令塔ピルロだ。
キャリア最盛期を過ごしたミランを後にし、今季から白黒の縦縞に袖を通す32歳のベテランは、持久力を強化するバルセロナ流の個人練習メニューによって万全のフィジカルコンディションを手中にした。
運動量が増え、中盤でのポジショニングに余裕が生まれたことで、珠玉のパスワークにもより磨きがかかった。ミランとのコッパ・イタリア準決勝第1戦では、変幻自在のパスとFKで相手を翻弄しつつチーム2位となる11kmを走破し、古巣を圧倒した。
ピルロ率いる中盤トリオが抜群の得点力を誇るユーべ。
ともにドイツW杯を制したユーベOBのカンナバーロは「ピルロはたったひとりで、カンピオナートのパワーバランスを一変させてしまった」と驚嘆する。
その言葉が決して大げさでないことは、実際にピッチで対戦する多くのライバルたちが身をもって実感している。マルキージオやビダルと組む中盤トリオは抜群の得点力を誇り、後方の守備陣がリーグ最少失点で躍進を支える。
ただし、前年までの中堅チームが不利な下馬評を覆し、ミラノ勢や復活したナポリと正面からわたり合うには、何らかの犠牲を払う必要があった。勝ち点3を積み上げるため、闘将はこれまでにさまざまなものを削ぎ落とす決断を下してきた。