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長友佑都の母が語る、
ポジティブ子育て論。
~長友りえ・著『心は、強くなる』~
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph bySports Graphic Number
posted2012/02/29 06:00
『心は、強くなる~長友家式人に愛される子どもに育てる五感の方程式~』 長友りえ著 ワニブックス 1300円+税
長友家のみんなは、自分のことが大好きです。佑都も母である私も。自分を好きだからこそ、努力もできるし、自分や家族を大切にできます。そして私はトコトン親バカでして(笑)。
佑都は「強い心」を持っています。勝負にこだわる一方で、感謝の気持ちも常に忘れていません。人から愛される存在になってくれていると私は思っています。
私たちは母子家庭。生活は楽ではありませんでした。佑都をはじめ3人の子供と触れ合う時間も多かったわけではありません。それでも「強い心」を持ってもらうよう育ててきたつもりです。シングルマザーの方や子育てのことで悩まれているお母さん方に、私の経験がほんの少しでもお役に立てればという思いでこの本を出させていただいた次第です。
子育てにおいてまず私が大事にしたのは「目で見守る」ということでした。親が何でもかんでも手助けしてしまっては子供に力がついていきません。
一例を挙げると、佑都がまだ小学生のころ、朝は起こすだけで時間の配分は子供たちに任せていました。「今、何分だから早くご飯食べなさい」とか絶対に言いませんし、手助けもしません。配分できずに集団登校に遅れてしまったら、子供たち自身が辛い思いをして“間に合うようにしなきゃ”と思うわけです。
中学時代の荒れた反抗期にも、何も言わなかった理由。
私の子育てに命令形はありません。目線を一緒にすると、怒ることはなくなります。人に迷惑をかけてしまうこと、絶対にやっちゃいけないことは注意しますよ。でもそれ以外であれば見守りました。
中学になると反抗期を迎えますよね。中3のとき、佑都が私に怒る理由があって私の体を軽く蹴ったことがありました。でも私は何も言いませんでした。ずっと目線を一緒にしてきたことで“お母さん、ごめん”と思う心が読めたからです。そうしたら愛媛を離れて東福岡高校に進学した高1の母の日に、「後悔していることがあるんだ」と佑都のほうからメールで謝ってきたんです。
私は「目で見守る」ことから耳、口、手、足と“五感”を大事にしてきました。耳で聞いてあげて、口では「あなたなら大丈夫だよ」と背中を押してあげる。