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リーガタイトルの行方を左右する、
バルサvs.レアル、運命の“クラシコ”。 

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中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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photograph byUniphoto Press

posted2010/04/10 08:00

リーガタイトルの行方を左右する、バルサvs.レアル、運命の“クラシコ”。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

26ゴールで得点ランクトップを走るメッシ。昨季、ベルナベウで2ゴールを決めている。

 1位レアル・マドリー、2位バルセロナが同じ勝ち点(77点)で激突する4月10日のクラシコは、まさに天王山と呼ぶにふさわしい一戦だ。

 ホームのサンティアゴ・ベルナベウで行なわれるチャンピオンズリーグ(CL)決勝の舞台に立つという夢を絶たれたレアルにとっては、リーガタイトル獲得こそが残された最後の望み。さらに昨季、ホームでバルサに2-6という屈辱的な大敗を喫しただけに、今回のクラシコでは勝利が義務付けられている。クラシコの前節、アウェーでのラシン戦を2-0で制した後、WEB版MARCA紙のトップページに「クラシコに向けての宿題は済んだ」という見出しが躍ったように、レアルは“クラシコ一色”となって直接対決への1週間を過ごすことになる。

 一方のバルセロナは、クラシコの4日前にアーセナルとのCL準々決勝セカンドレグを戦った。試合前、グアルディオラ監督は「クラシコ以外にも(CL連覇に向けて)重要な試合が残っている」と語っており、クラシコだけに集中できない状況にある。さらにイブラヒモビッチ、イニエスタら主力がケガを抱えており、万全の状態でクラシコを迎えることは難しそうだ。

イニエスタなどが故障中で問題山積だが手強いバルサ。

 それでも、優位に立っているのは6冠王者バルサだ。クラシコの1週間前に行なわれたビルバオ戦では、イブラヒモビッチとイニエスタが欠場したにもかかわらず、守備を固めたビルバオ相手に4ゴールを叩き込んだ。主力がいなくても効果的にボールを動かす組織プレーに翳りはなく、ジェフレン、ボージャンら若手がゴール前で能力の高さを見せつけた。

そして何より、エースのメッシが驚異的なほど絶好調だ。ビルバオ戦では先制ゴールの起点となり、自らもチームの4点目を決めた。アーセナルとのCL準々決勝セカンドレグでは、ひとりで圧巻の4ゴール。これで大会8ゴールとなり、C・ロナウド(7得点)を抜いて2年連続CL得点王も見えてきた。過密日程の中でも、組織プレーの熟成度、エースの凄みが伝わってくる。そこにバルサの強さが表れている。

レアルは“カウンター狙い”でバルサを迎え撃つ構え。

 そんなバルサをベルナベウに迎えるレアルはどう戦うのか。ラシン戦後にペジェグリーニ監督は、「カンプノウでのクラシコは、結果だけがついてこなかった(0-1で敗戦)」と語っている。昨年11月、アウェーでレアルは自陣に引き、選手が互いに距離を詰めてそれぞれがサポートし合える状況を作ってバルサの攻撃をブロックした。そして、高い位置でボールを奪った際にはカカ、C・ロナウド、イグアインが電光石火のカウンターを繰り出し、バルサを大いに苦しめたのだった。指揮官の発言と前回の試合内容を振り返っても、レアルは再び“カウンター狙い”で今回のクラシコに臨むことが予想される。

【次ページ】 クラシコはフットボールに対する思想の激突でもある。

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