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芸術性の目覚めを支える、
22年の人生と濃厚な体験。
~小塚崇彦ファン必携の本が発売~
text by
吉井妙子Taeko Yoshii
photograph bySports Graphic Number
posted2012/01/21 08:00
『ステップ バイ ステップ』 小塚崇彦著 文藝春秋 1300円+税
ふんだんに盛り込まれた写真からも、成長の足跡が。
「リンクで流れているときには、聴こえていない音もあるのだと知ることができたし、それらの音も捉えて表現していければと思って取り組んできた」
芸術性の目覚めである。目覚めれば、身体に取り込める。それを表現する技術力はすでにある。一皮も二皮もむける日は近いはずだ。
小塚選手の祖父は旧満州のフィギュアスケートチャンピオン、父はグルノーブル五輪男子シングルの日本代表、母もスケート選手。そのため、サラブレッドと思われがちだが、コツコツと努力を積み重ねてきた堅実派だ。失敗するたびに何が問題だったのかと解析し、そのエッセンスを薄紙一枚一枚重ね合わせるようにして技術を磨いてきた。
本書には、ジュニア時代から現在まで、失敗をいかに乗り越えて、糧にしてきたかが克明に記されている。熊川さんは「想像力の源は体験の蓄積」と語っていた。小塚選手が芸術性に目覚めたのも、こんな濃い体験があったからなのだろう。ふんだんに盛り込まれた写真からも、成長の足跡を追うことが出来る。
文藝春秋BOOKS
スケート界のサラブレッドが登り続ける階段
昨シーズン、著しい成長を遂げた小塚の歩みの記録と強さの秘密。本人語りおろし。豊富な写真とともに。ファン必携のオールカラー本
<本体1,300円+税/小塚崇彦・著>
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