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<私とカラダづくり> 内田樹 「カラダというアナログを大切に」
text by
NumberDo編集部Number Do
photograph byMami Yamada
posted2012/01/19 06:00
人間の生物的な欲求をベースにしたアナログな社会へ。
現在のようなデジタルな社会制度は、これから1回大きく崩れると思います。確かにこれまで曖昧にされてきたことがクリアになっているんだろうし、社会や集団のルールが記述されているので、責任分担や仕事分担はしやすい。でも、それが制度の硬直化を生み、どこかの段階で緊張の糸が切れ、オーバーストレスで組織自体が自壊する可能性がある。
そのあとに補正が始まるとすると、僕がやっている「ざっとでいいよ」という、等身大で、人間の生物的な欲求をベースにしたやり方のほうが上手く機能するはずです。
そういうことを肌で予感している人たちが、走ったり、合気道を習ったりしている。ポータブルな資源としてのカラダに興味をもち、自分のカラダはどんなカラダなんだろうというのを知りたくなってきているんです。
自分のカラダというのは最後のアナログです。僕は身体的なアナログをどんどん周辺に拡大し、凱風館というアナログな空間をつくり、さらにそこでアナログな人間を育て、世の中に送り出していこうと思っています。
内田樹のカラダづくり3カ条
◎ カラダとは複雑怪奇なものであることを知るべし。
◎ 大切なのは相手との競争や強弱勝敗ではない。
◎ 観察、吟味し、自分の潜在能力を開発すること
こそ肝要である。
◆内田樹 Tatsuru Uchida◆
身長:175cm 体重:77kg 体脂肪率:不詳
1950年9月30日、東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授。その論評領域は専門のフランス現代思想から、教育、映画、武道論など多岐に渡る。著作に『私家版・ユダヤ文化論』『下流志向』『日本辺境論』など。多田塾甲南合気会師範。
―――― Training Menu ――――
甲南合気会には小学校低学年の子どもたちから、創立した20年前から通う社会人まで幅広い年代の会員が約150人在籍。内田師範と書生の永山さんらが開放的な凱風館の道場で指導にあたる。
―――― Key Item ――――
凱風館の看板(5ページ目に写真)、モデルになった道場が描かれた漫画『もうれつ先生』(同)