自ら契約を切った加藤大輔は楽天が獲得へ。

　'08年のセーブ王。中継ぎ、抑えとしてオリックスで実績を残した加藤大輔（'02年自由枠）は、自らの意思で戦力外となる形で退団し、トライアウトに参加していた。

「報道では戦力外と書かれましたけど、僕としては球団と話し合ったうえで辞めたんで、自由契約の身だと思っているんですけど……」

　そう苦笑する加藤は、年俸の大幅ダウン提示などの条件から他球団でプレーする道を選んだ。レギュラーシーズン終了後は、チームと共に練習し、連日のようにブルペンで投げていたため、納得のいくパフォーマンスを見せられたという。

「持てる力を十分に出せました。コントロールもまあまあでしたし、ストレートも、バッターはきっと『1、2、3』のタイミングで思い切りバットを振ってくるだろうから、簡単に外野へ弾き返されないように、と意識して。手応えはありました。自己採点だと80点はあげてもいいんじゃないでしょうか」

　140キロ越えの速球に得意のナックルカーブも冴え、2つの三振を奪うなどアピールに成功したと言っていいだろう。実際、以前から興味を抱いていた楽天関係者が、獲得を示唆するなど感触も良好。守護神不在のチームだけに、来季以降の加藤の投球には大いに期待が持てる。

彼らは「ドラフト1位」の誇りを持ち続けているのか？

　彼らを含め、今回、話を聞くことができた「ドラ1投手」に共通の質問を投げかけてみた。「今後もドラフト1位のプライドは持ち続けるか？」と。答えは、全員が「ノー」だった。

　そして、ほとんどの選手がこう補足した。

「ドラフト1位はプロに入るまでのこと。むしろ、チームに貢献できずに戦力外になってしまったことを申し訳なく感じている」

　戦力外通告という現実に、多少なりとも引け目を感じてしまう心情は察することができる。だが、プロでの結果がどうあれ、ドラフト1位は選ばれた人間だ。だからこそ、完全にユニフォームを脱ぐ日まで、その誇りだけは持ち続けてもらいたい。

　強い気持ちが力を生み、新たな道を切り開くのだから。