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82億円で“パパ”がシートご購入!?
F1史上最強のお坊ちゃま新人、現る。
posted2017/03/12 08:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
今年、とんでもないルーキーがF1デビューを果たす。カナダ出身、わずか18歳のランス・ストロールだ。
ストロールの父親は、ファッションブランドの『トミーヒルフィガー』や『マイケルコース』の大株主として知られるローレンス・ストロール。総資産は24億ドル(約2477億円)。フォーブス誌の2016年世界長者番付で722位にランクされている、億万長者だ。
その大富豪が息子のデビューをサポートするために費やした費用が桁違いだった。
ストロールは昨年のヨーロッパF3選手権のチャンピオンだが、まだ18歳。大排気量のマシンを操るという点で経験が十分ではなかった。
F1マシンは1.6リッターだが、ターボや回生エネルギーによって、その出力は最大で900馬力以上もある。これに対して、F3のエンジンは約200馬力程度である。本来であれば、GP2(4リッター、約612馬力)など、F3よりもハイパワーのカテゴリーを経験したのちに、F1を目指すのが一般的である。
サーキット貸切、計25人のスタッフ随行でテスト走行。
ところが、ストロールは時間をお金で買った。なんと息子のF1デビュー準備のために、昨年大規模なテストプログラムを実行させたのである。
現在、F1のレギュレーションではテストに厳しい規制がかけられている。だが、それは1年前のマシンを使用したテストの場合。ストロールは、2年落ちのマシンをウイリアムズに用意させ、F1が開催されているいくつかのサーキットへ出向き、テスト走行を行ったのだ。
サーキットを借り切っただけでなく、F1マシンを走らせるために、ウイリアムズ側から20名のメカニックと5名のエンジニアが随行。パワーユニットもメルセデスから2台を特別に供給してもらえるように交渉した。
もちろん、それらの費用はすべてストロール側が捻出。その費用は8000万ドル(約82億円)とも言われている。