初のポストシーズンで、内川は実力を発揮できるか？

　内川の唯一の懸念材料を挙げるとすれば、ポストシーズン初出場でどれだけ力を発揮できるか？　といったところだろうが、おそらく杞憂に終わるだろう。横浜時代から、彼の打席に対するモチベーションは誰よりも高い。

　本人の言葉がそれを物語っている。

「こんなことを言ったらチームに申し訳ないですけど、負けゲームで打席に立つことが多かったんですね。でも幸いだったのが、どんなに点差が開いても『この打席は自分のものだ』と思える習慣がついたこと。そのことで、勝てるゲームではもっと大きな力を発揮できるようになったんです。自分にとっては無駄な打席なんてひとつもないんですよ」

　得点圏打率が高いことも、CSでの活躍を期待させる。

「いくらヒットを打っても得点圏打率が1割台では意味がないですし。打率が2割台でもランナーがいるときに10割打てたほうが、僕にとっては価値が大きいですね」

　その意識が、シーズン得点圏打率3割4分1厘という好成績に結び付いた。ポストシーズンで敗退を続けるチームにとって、内川の数字は大きな希望になるはずだ。

中島の強みは、通算で5度にも及ぶポストシーズンでの経験。

　勝負強さという点では、西武の3番・中島裕之も安定した力を示している。

　今季、6年連続の3割は逃したものの、得点圏打率は内川を上回る3割5分1厘を記録し、自身初となる100打点もマークした。

　そして何より、中島には過去に5度のポストシーズンを戦っている経験がある。

　だからこそ、中島は自分を見失わず、相手投手の嫌がる打撃を的確に行うことができる。

　それを証明してみせたのが、日本ハムとのファーストステージ初戦だった。

　第1打席は初球のスライダーをひっかけサードゴロ。第2打席は速球を空振り三振とダルビッシュ有を打ちあぐねていたが、0対2とリードを許した7回の第3打席で中島らしさを見せる。1打席目と同じ外角のスライダーで攻めてきた初球を見逃さず右中間へ二塁打、追撃の口火を切る1点を演出した。

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