スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
堅守マリナーズと貧攻マリナーズ。
~開幕直前メジャーリーグ大予想~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byNaoya Sanuki
posted2010/03/18 10:30
マリナーズは、イチローが加入した'02年以来の地区優勝を狙う
3月も半ばを過ぎた。この時期になると、指折り数えるという言葉が比喩以上の現実感を持ちはじめる。少なくとも、私の場合はそうだ。実際に指は折らなくとも、カレンダーの数字を眼で追ってカウントダウンを始めている。あと16日、あと15日……もちろん、大リーグ開幕までの残り日数の話だ。
というわけで、そろそろ予想の季節の到来である。本当は2週間ほど前に発表したかったのだが、ちょっと早すぎると思って自重していた。が、この2週間、私のなかでの変化はなかった。まず結論から書く。
AL東地区=ヤンキース
AL中地区=ツインズ
AL西地区=マリナーズ
ALワイルドカード=レッドソックス
NL東地区=フィリーズ
NL中地区=カーディナルス
NL西地区=ドジャース
NLワイルドカード=ロッキーズ
AL覇者=ヤンキース
NL覇者=ドジャース
ワールドシリーズ王者=ヤンキース
凡庸だろうか。これでも少しは考えたのだ。もちろん、大向こう受けを狙った予想を持ち出すことはできる。AL東地区の優勝をレッドソックスと予想したり、NL中地区の王者にレッズを抜擢したりすることも、できない相談ではないのだ。あるいは、NL東地区をブレーヴスが制するとか。
補強に成功したマリナーズの本命は動きそうにないが……。
きわどい地区はほかにもある。マリナーズのいるAL西地区だ。ツボをつかんだ強力首脳陣ジャック・ズレンシク(GM)とドン・ワカマツ(監督)の体制堅持に加えて、クリフ・リーやショーン・フィギンスやミルトン・ブラッドリーの補強。この側面だけを見れば、マリナーズ10年ぶりの地区制覇はかなり可能性が高い。
しかも現在3連覇中のエンジェルスは、明らかに戦力を低下させた。フィギンスやヴラディミール・ゲレロやジョン・ラッキーを失って、獲得したのが松井秀喜にジョエル・ピニェイロという出入りの構図を見れば、どうしてもマイナス面が眼についてしまう。