スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
堅守マリナーズと貧攻マリナーズ。
~開幕直前メジャーリーグ大予想~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byNaoya Sanuki
posted2010/03/18 10:30
マリナーズは、イチローが加入した'02年以来の地区優勝を狙う
昨季の総得点はAL最低。得点力不足が落とし穴に。
だが、マリナーズの得点力不足は果たして改善されたのだろうか。フェリックス・ヘルナンデスとリーの2枚看板を並べた先発投手陣や、フランクリン・グティエレスとイチローとフィギンスをそろえた守備陣はたしかに強力だが、昨季の総得点640(ALで最低。大リーグ全体では28位。下にはパドレスとパイレーツしかいない)という数字はあまりにも寂しい。今季も、気分屋ブラッドリー(たぶん3番を打つ)がつむじを曲げ、40歳のケン・グリフィーJr.(たぶん4番を打つ)が故障を再発させるようだと、貧打拙攻で勝ちを逃す恐れは十分に出てくる。
もちろん、AL全体を活性化させるという意味でもマリナーズにはぜひ頑張ってもらいたい。ただ、いま述べた理由でこの地区はどう転ぶかわからない。日本のファンはやきもきさせられることだろうが、そんなときは順位争いから離れて、新しい才能の飛躍に眼を向けてみてはどうか。私の注目株は、投手ではウバルド・ヒメネス(ロッキーズ)とジョシュ・ジョンソン(マーリンズ)、野手ではジョーイ・ヴォット(レッズ)とマット・ケンプ(ドジャース)だ。彼らが化ければ、球界の温度はまちがいなく上がる。