ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
ブンデスの古豪がついに復活!
大津祐樹所属のボルシアMGの改革。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/09/02 10:30
2勝1敗1分(4節終了時点)の勝ち点7で5位につけるボルシアMG。4試合で失点3と堅守速攻スタイルで上位を目指す
1日2回の厳しいトレーニングで教えを叩き込んだ。
ファブレ監督は、厳しいトレーニングの成果を強調する。
「私が監督に就任してからは、1日に2回、ハードなトレーニングを積んできた。選手たちがどのように動けばいいのかを徹底的に叩き込んだんだ。私が幸せなのは、彼らが私の教えを理解する力を持ち合わせていたことだ」
もっとも、攻撃が機能したのは、チームに残された遺産の影響も見逃せない。2009-2010シーズンから指揮をとっていたフロンツェック前監督は、力に差があるチームを相手にも真っ向勝負を挑み、相手よりも多くのゴールを決めることを求めていた。現在の攻撃陣の主力であるカマルゴ、ボバディージャ、アランゴ、ロイスなどはフロンツェックが監督を務めていたときにやってきた選手。攻撃を第一に考える監督のお眼鏡にかなった選手たちは、ファブレ監督のもとで守備が安定したために、攻撃でもようやく本領を発揮できるようになった。
攻撃の選手の中で光っているのが、MFロイスのプレーだ。22歳のドイツ人MFはスピードとシュートの精度、そしてシュートレンジの広さが魅力の選手だ。昨季は残留争いを続けたチームにあって、10ゴール、8アシストと気を吐き、シーズン終了後にはドイツ代表入りも果たしている。素早く攻撃に移った際に、チームメイトは彼を探す。スピードに乗ったドリブルで彼がボールを運ぶと、相手は対応に追われる。ドリブルで抜かれるのを警戒してズルズルと後退すれば、ミドルシュートを打たれてしまう。かといってシュートを警戒して距離をつめようとすればスピードにのったドリブルで置いていかれてしまう。彼のプレースタイルは、堅守速攻を貫くチームのスタイルとの相性が抜群に良い。
開幕戦で苦渋を飲んだバイエルンの監督は古豪復活を断言。
開幕戦で苦虫をかみつぶしたバイエルンのハインケス監督が断言する。
「ボルシアMGはリーグのトップ3に入ってもおかしくない。たとえ、それが無理でも(チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグを含めた)ヨーロッパカップ戦出場権を獲得しても何ら不思議ではない」
『ビルト』紙が、ヨーロッパカップ戦の出場権を獲得した際には、ファブレ監督に特別ボーナスが支払われることをスクープするなど、メディアの報道は加熱気味だが、当の本人は慎重な姿勢を崩さない。
「今からシーズン終了時の順位について話をするのは、早すぎる。チームを信じて戦うだけだ」
第4節では、好調シャルケにアウェーで惜敗(0-1)したが、現在のチームは安定感があるため大崩れすることはないだろう。それどころか、上位陣を脅かす存在として、古豪復活のシーズンとなるかもしれない。