プレミアリーグの時間BACK NUMBER
リーグでもCLでも絶好調のルーニー。
故障が酷いとマンUもW杯も万事休す!?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAction Images/AFLO
posted2010/03/10 10:30
2月28日、カーリングカップ決勝のアストンビラ戦で、ルーニーは決勝ゴールを叩き込み、2-1でチームを優勝に導いた
ゴール前へ積極的に出る意識改革が大爆発の引き金に。
この大爆発の要因のひとつに、ポジションが変わったことによる意識の変化がある。昨季までのルーニーは、スタート時のポジションが最前線であれ1.5列目であれ、中盤まで下がってビルドアップに絡もうとする姿が目に付いた。だが今季は、マイボール時には「ゴール前へ」という姿勢が強く感じられる。
例えば、リーグカップ準決勝第2レグでのマンチェスターC戦。「自分は、まず第1にチームプレーヤーだから」と語るルーニーは、後半早々、守備に参加した場面で、自陣内からロングパスを送りチームの先制点を呼んだ。似たような展開は昨シーズン以前にも珍しくはなかった。しかし、チームが敵陣内で攻めていた終盤には、ゴール前の危険なエリアに顔を出し続け、センターフォワードらしいゴール至近距離からのシュートを決め、3-1の勝利に大きく貢献した。
苦手のヘディングを克服。得点能力はより強固に。
この意識改革は、代表のファビオ・カペッロ監督からの苦言の効果でもある。ルーニーを「過去に抱えた選手の中でも最高レベルの1人だ」と認めるカペッロは、2年前の就任当初から「ストライカーなのだからボックス内でもっと仕事をしろ」と言い続けてきた。「最初はちょっとびびったよ」と言うルーニーは、厳格な指揮官の忠告を心に留め、W杯南アフリカ大会の予選では9試合出場で9得点と、ストライカーとしての任務をきっちり果たしている。
ボックス内で仕事をする意識は、ヘディング・ゴールの増量からもうかがい知れる。頭で合わせるのは苦手と思われていたルーニーだが、2月の6得点は全てヘディングによるゴールだ。以前は、「お恥ずかしい限り」とヘディング・ゴールの少なさを認めていたルーニーは、「ポール(・スコールズ)からコツを盗もうと努力したよ。彼は自分よりも背が(8cmほど)低いのに、ジャンプのタイミングがドンピシャなんだよね」と、弱点克服の秘密を明かしている。クロスの落下点に確実に顔を出し、タイミングの良さで空中戦を制することができれば、ルーニーには、相手GKもセーブ不可能なヘディングシュートを可能にするパワーとテクニックがある。敵のCBと正対しながら、勢いのない山なりのクロスをゴール左上隅に放り込んだ、リーグカップ決勝でのヘディングがその証拠だ。