プレミアリーグの時間BACK NUMBER
リーグでもCLでも絶好調のルーニー。
故障が酷いとマンUもW杯も万事休す!?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAction Images/AFLO
posted2010/03/10 10:30
2月28日、カーリングカップ決勝のアストンビラ戦で、ルーニーは決勝ゴールを叩き込み、2-1でチームを優勝に導いた
ウェイン・ルーニーが暴れている。そのパフォーマンスは、まさに“ワンマンショー”さながらだ。1月末のアーセナル戦(3-1)では、24歳の若さにしてプレミアリーグ通算100得点目を記録。翌2月には、CLでのACミラン戦(3-2)で逆転ゴールを含む2得点をあげ、月末のリーグカップ決勝(2-1)では、途中出場からマンチェスターUを優勝に導く1点を決めた。クラブとイングランド代表での今シーズンの総得点数は2月末の時点で「34」。プレミアでの23得点は、昨季のニコラ・アネルカに得点王のタイトルをもたらした「19」をすでに上回っている。
ストライカーとしてのルーニーの素質は今さら説明するまでもないだろう。リーグカップ決勝に向けた国内紙のインタビューで、対戦相手のアストンビラのMFで、ルーニーと同世代のジェームズ・ミルナーは言っていた。
「リーズでのユース時代、U-11の試合でエバートンにいたルーニーと対戦したことがある。同年代とは思えないフィジカルとテクニックで圧倒されたよ。試合後の僕らは、相手チームの“モンスター”のことばかり話していた」
2002年に、まだ16歳だったルーニーが記録したプレミア最年少ゴール(後にミルナーが記録更新)は、いまでもイングランド国民の間で語り草になっている。アーセナル戦で決勝の25m弾を放ったルーニーは、対戦相手の監督で若手を見る目ではプレミア随一のアーセン・ベンゲルをして「これほど完成された 16歳は見たことがない」と言わしめた。
ポジション変更で「名脇役」から「点取り屋」へ。
だが、'04年にマンU入りしてからのルーニーは、パワー、テクニック、センス、ハードワークの全てを兼ね備えたアッタカーとしては高く評価されても、ストライカーとしては傑出した能力を発揮できずにいた。過去5シーズンのプレミアでは、'05-'06シーズンの16得点が最高記録だった。
移籍直後のマンUには、絶対的な「点取り屋」としてルート・ファン・ニステルローイがいた。過去2、3年間は、昨夏にレアル・マドリードが100億円台の移籍金を支払うまでに至ったクリスティアーノ・ロナウドが、絶対的な「得点源」として急成長を見せた。
アレックス・ファーガソン監督が「クラブの将来」と見初めて獲得したルーニーは、献身的な姿勢とオールラウンドな能力を持つが故に、「名脇役」に徹してきたといえる。
もちろん、本人の望みは当初からセンターフォワードだった。その胸中は、「前線の中央を任せてもらえれば、クリスティアーノの分までゴールを稼いでみせる」という、今季開幕前の発言にも表れていた。そして、実際に主役の座を手にしたルーニーは、その言葉通りの活躍をピッチ上で披露している。