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<独占インタビュー>
小野伸二 「僕はゴトビ監督の期待に
もっともっと応えていきたい」
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2011/08/16 10:30
キャプテン就任時に「監督がやろうとしていることを実現できればきっといい成績が残せると思います」と断言した小野伸二。今季は、新生エスパルスとでも言うべきチームを率いて、生まれ故郷からリーグの頂点を目指す
パスを回してどんどん攻めていく攻撃的なサッカーを!
「練習をしてみた感想は、とにかく『楽しい』の一言でした。基本的にボールを使ったトレーニングしかしないし、その中で体を動かしたりフィジカルを鍛えたりすることもできるようになっているんですけど、『サッカーをやっている』感覚がすごくあった。メニューも多彩で、なおかつ毎日バリエーションを変えてくれるので、やっていて本当に飽きないんです。
それとサッカー自体も、自分の肌というかプレースタイルにあいましたね。ゴトビ監督はパスを回してどんどん攻めていく攻撃的なサッカーをやろうとしていますから。僕自身、監督から学ぶところはかなり多いですし」
今シーズンのエスパルスは4-3-3や4-2-3-1を使い分けているが、小野はいずれのシステムでも攻撃の要となっている。しかもピッチ中央に君臨するだけでなく、中盤の深い位置やワイドに開いたポジションでも、天性のチャンスメーカーやゲームメーカーとしての持ち味をいかんなく発揮してきた。
ちなみにゴトビ監督は戦術家の印象が強い。日韓W杯当時、韓国代表のフース・ヒディンク監督の元で戦術分析官を務めていたことはよく知られている。
「ゴトビ監督というのは、組織を大事にする監督だと思います。それをはたして戦術と言っていいのかどうかはわからないですけど、頭の中には、攻撃にしても守備にしても選手全員で組織立った動き方をするというイメージがきちんとあるんじゃないでしょうか。
ええ、指示は細かいですよ。トレーニングでも試合中のハーフタイムでもそうですけど、ここはこうしたほうがいい、ああしたほうがいいと具体的に指示してくれる。映像を使って説明してくれたりもするから、僕たち選手にとってはとても有難いんです。監督は自分の思っていることを率直に言ってくれるし、僕たちも正直に話をする。とにかくお互いが信頼関係でうまく結ばれているというか、チームが一つになっている感じはします」
「タカが入ってきたことは自分にとって本当にいい刺激になっている」
ゴトビ監督も小野に対しては厚い信頼を寄せている。
「クラブに来て1週間ぐらいの時に、キャプテンをやってくれと言ってくれまして。最初は僕がやるよりも若い選手にやらせたほうがいいんじゃないですかということは言ったんですが、監督に期待されていることは単純に嬉しかったですね。
(キャプテンをつとめることを)負担に感じたりはしませんでした。今年のエスパルスは若い選手がだいぶ多くなりましたけど、一人一人が責任感を持ってやれていると思うので、自分の仕事はそういう仲間や若手をうまくひっぱってチーム全体を奮起させることなんだろうと」
ゴトビ監督の就任以外にも、今シーズンの小野にとっては励みとなる出来事があった。同郷の親友にして、かつては共に日本代表を支えたストライカー、高原直泰の加入である。
「タカが入ってきたことは自分にとって本当にいい刺激になっているし、チーム全体としても、彼が加わってくれたことでプラスになったことはたくさんある。そういった点でもすごく充実しています」