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<独占インタビュー>
小野伸二 「僕はゴトビ監督の期待に
もっともっと応えていきたい」
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2011/08/16 10:30
キャプテン就任時に「監督がやろうとしていることを実現できればきっといい成績が残せると思います」と断言した小野伸二。今季は、新生エスパルスとでも言うべきチームを率いて、生まれ故郷からリーグの頂点を目指す
開幕、そしてリーグ再開……苦難の試合が続いた。
しかしシーズン序盤戦のエスパルスは、苦しい戦いを余儀なくされた。
開幕戦は柏にアウェーで0-3と完敗。東日本大震災によるシーズン中断を挟み、リーグ戦の再開となる福岡戦こそ1-0で勝利したものの、そこからは引き分け、敗戦、再び引き分けという結果が続く。チームの順位は一時14位まで落ちた。
そのような状況で巡ってきたのが5月14日の一戦だった。ホームのサポーターが見守る中、エスパルスはなんと神戸に1-5で敗れてしまう。いよいよチームが崩壊するのではないかと、危機感を煽ったメディアさえあった。
しかし、小野の心は揺るがなかった。
「気にしなかったですね。たとえば自分が音頭をとって、選手だけでミーティングをするようなことも特にはやりませんでした。僕は選手同士で確認しあったりしなければならないようなことはいつもピッチの上でやるようにしていますし、それにもともとサッカーという競技ではなにが起きるかわからない。むしろ大敗した後に、どうやって気持ちを切り替えて立て直すかということのほうが大事なんです」
強豪ガンバ相手に接戦を繰り広げたことで、自らを取り戻した。
小野の指摘は正しい。翌節、エスパルスは好調を維持していた大宮相手に4-1で大勝。ここを境に磐田(0-0)、ガンバ大阪(2-2)と引き分け、山形(2-1)、浦和(3-1)に連勝を収めるなど上昇に転じていく。特に重要だったのは典型的なシーソーゲームとなったガンバ戦である。強豪相手に接戦を戦い抜いたことで得たものは、勝ち点1以上の価値があった。
「そう。あの試合は1-0、1-1、1-2、2-2という展開になったんですけど、前半、相手ペースでずっとやっている中で自分たちのサッカーを取り戻して、同点から逆転につなげることができた。一試合一試合、みんなが一生懸命やってきたことが形になってきたというか、精神面でもチームが成長しているなというのは感じましたね」
とは言え、小野が現状に満足していなかったことは指摘するまでもない。後半戦に向け、彼は次のような抱負と課題を口にした。
「ここからは一つ一つのプレーに自信を持ってやることが、鍵になるんじゃないかなと思います。いいところをほとんど出せていないというのは言い過ぎですけど、僕らにはまだまだ伸びしろがたくさんある。ビルドアップの質だったり、あとはやっぱり得点ですかね。こういうところを改善していけば、成績はもっと上がっていく……それは間違いないですよ。僕自身、まだまだゴトビ監督の期待に100%応えきれていないという気持ちもありますし。もっともっと彼が求めているような選手になれるようにやっていきたいという思いがすごくあります」