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復活レバークーゼン、無敗の強さ。
~ドイツ代表当落線上の男たち~
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2009/10/17 08:00
レバークーゼンを牽引する主将ロルフェス。狙うはクラブの優勝とW杯出場だ
チャンピオンズリーグで準優勝に輝いたのは7年も前のことだ。過去5シーズンの最高成績は5位で、昨シーズンは9位に終わった。近年パッとしないシーズンを過ごしていたレバークーゼンが、第8節を終えてついに首位に躍り出た。
胸中に闘志を秘める新監督がレバークーゼンを変える。
「バイエルンの監督を5試合ほど務めたときに感じたんだ。まだ、胸の中に燃えるものがある、ってことをね」
そんなセリフとともに今季レバークーゼンにやってきたのが、ユップ・ハインケス新監督だ。ハインケスはボルシア・メンヘングラッドバッハなどで活躍したストライカーで、ブンデスリーガ歴代3位となる220ゴールをマークしている。選手としてW杯、EUROの優勝メンバーに名を連ね、ブンデスリーガも制覇。監督としてもバイエルンでリーグ優勝を、レアル・マドリーではチャンピオンズリーグ優勝を果たしている。夫人の病気などもあって、近年は監督業から遠ざかっていたが、昨季終盤にユルゲン・クリンスマン監督の後を継いだバイエルンではしっかりとCL出場権を確保してみせた。
W杯を視野に入れる3選手が攻守の要に。
ハインケス監督は、選手たちの意識を変えた。昨季のチームもパスをしっかりとつなぐ好チームではあったが、守備が淡泊だった。前がかりになったところで、ボールをとられて失点するシーンが目立っていた。ところが今季は、球際の激しさがまるで違う。守備が安定したことで、良い形でボールを奪ってから素早い速攻を繰り出せるようになり、攻撃の幅も広がった。第8節を終えた時点で、得点数がリーグ2位、失点の少なさはリーグトップタイだ。
この好調のチームを引っ張っているのが、ドイツ人の3選手だ。GKのレネ・アドラー、キャプテンでMFのシモン・ロルフェス、FWのシュテファン・キースリンクである。彼らには目標がある。来年のワールドカップで主力としてプレーすることだ。
GKのアドラーは、派手なセーブこそないが、チームを最後尾でまとめる。リーグ最少失点タイの成績が、彼の活躍を証明している。イェンス・レーマンの代表引退後、熾烈を極める正GK争いについても自信をのぞかせる。
「代表でもこれまでの僕の仕事を監督は評価してくれていると思う。僕も信頼できる存在になったんじゃないかな」
ヨアヒム・レーブ代表監督からの評価も高い。
「9月の2試合で、彼はチームをしっかりと支えてくれた。彼には大きな信頼をよせている」
専門誌が最高の評価を与えたMFロルフェスの活躍。
MFロルフェスの素晴らしいパフォーマンスは、このチームの成長を最も体現している。昨季は4-1-3-2の1ボランチを務め、攻撃に偏りがちなチームにあって、守備ばかりに奔走させられていた。ところが、ダブルボランチの一角を担う今季は、守備ではもちろんのこと、攻撃でも活躍している。開幕からの8試合で4ゴールを決めており、『キッカー』誌が各選手につける採点でも、全選手の中で最高の評価を得ているのだ。
「昨シーズンまでは相手にスペースを与えすぎていたし、走り負けることも多かった。でも、今シーズンは違う。あらゆる面でチームは良くなったんだ」