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「4強」以下に本質は見える。
~スペインの選手層の厚さ~ 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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posted2009/08/10 11:30

「4強」以下に本質は見える。~スペインの選手層の厚さ~<Number Web> photograph by Getty Images

8月2日、エスパニョール対リバプールの親善試合は3-0で「スペイン」が勝利した。リバプールにはトーレス、エスパニョールには多くのスペイン人選手が所属していた

自国選手率から見えるスペインサッカーの強さ。

 だがこれは、あくまでも表面的な話。スペインサッカーの勢いはむしろ、裏の現象に見て取ることができる。リーガ・エスパニョーラの自国選手率、スペイン人選手がそこに占める割合が高いことだ。プレミアを4割とするとスペインは6割。外国籍選手が支えるプレミアに対し、リーガはスペイン人によって支えられている。これこそがスペインの特徴である。

 つまり、スペイン人選手のレベルは高い。スペイン代表のレベルは、今かなり高い。代表から漏れている選手のなかにも、好選手は山ほどいる。選手層が厚いのだ。史上最高と言ってもいいだろう。ユーロ2008の優勝には、そういった意味で必然を感じる。さらにブックメーカーのなかには、来年の南ア・ワールドカップの優勝予想で、スペインを一番手に挙げるものさえある。少なくともその点では「イングランド」に勝っている。

 今季の欧州サッカーも見どころ満載だが、スペインの裏事情にはとくに目を凝らしたい。ド派手な補強をしたマドリーもいいけれど、その戦いを通して見えてくるリーグ全体の傾向も、見逃すわけにはいかない。当然、エスパニョールにも優秀なスペイン人はいる。中村俊輔がそこでどれほど活躍できるか。半分出場できれば合格。3分の2なら大合格。シーズンを通してレギュラーで活躍したら拍手喝采を送りたい。僕はそう見ている。

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