杉山茂樹のサッカー道場BACK NUMBER
「4強」以下に本質は見える。
~スペインの選手層の厚さ~
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byGetty Images
posted2009/08/10 11:30
8月2日、エスパニョール対リバプールの親善試合は3-0で「スペイン」が勝利した。リバプールにはトーレス、エスパニョールには多くのスペイン人選手が所属していた
'08-'09チャンピオンズリーグでは、マンチェスター・ユナイテッドが決勝戦を戦い、アーセナルとチェルシーもベスト4入りした。リバプールもベスト8に駒を進めた。ここ何シーズンか継続している傾向でもある。プレミアは欧州サッカーの盟主の座に就いている。
それに続くのはスペインだ。UEFAリーグランキングの首位の座を2年前、プレミアに譲ったものの、2位の座はがっちりキープしている。スペインのペースが落ちたわけではない。プレミアのペースが上がったと言うべきだろう。
むしろ3位イタリアとの差は年々開いている。同様に、4位ドイツとの差も年々開いている。
欧州4強の、現在のポイントは以下の通りだ。
1位 イングランド=65.785
2位 スペイン=63.543
3位 イタリア=50.767
4位 ドイツ=47.624
10年前は、スペイン、イタリア、イングランド、ドイツの順だった。
20年前は、イタリア、ドイツ、スペイン、フランスの順だった(注:イングランドは欧州カップ戦への出場が認められていない時期があったために21位)。
イタリア、ドイツの衰退ぶりは一目瞭然だ。欧州4強の間には「勝ち組」と「負け組」の構図がはっきり描かれている。
欧州最強のプレミアリーグだが、その内情は……。
しかし、首位の座を勢いよく突っ走るプレミアには、懸念材料がある。マンU、リバプール、チェルシー、アーセナルの4強と、それ以下との力が離れすぎていることだ。昨季5位のエバートン、6位のアストンビラが、チャンピオンズリーグで4強に迫る成績を残せるとは思えない。欧州ナンバーワンの座にプレミアが君臨する理由は、あくまで4強のレベルが高いから。リーグの10位、15位をスペインと比べてみると、分は悪そうに見える。リーグ全体のレベルは、スペインのほうが上と言うべきだろう。
2位を行く「スペイン」には今、追い風のようなものを感じる。昨季のチャンピオンズリーグ決勝では、バルサがマンUに完勝。すると今度は、バルサのライバルチームであるR・マドリーが、大型補強に乗り出す。マンUからC・ロナウド、ミランからカカ、リバプールからシャビ・アロンソを獲得。バルサに対してだけではなく、欧州に挑戦状を突きつけている格好だ。