オリンピックへの道BACK NUMBER
卓球男子、五輪残り1枠を賭けた激戦。
ダブルスも共にする若き2人に注目。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2011/07/20 10:30
「挫折を知らない」という丹羽孝希(左)と「20年に1度の逸材」と言われる松平健太をはじめとする若手選手たちの切磋琢磨が日本男子の競技力を向上させる
シングルス代表を逃した松平健太はリベンジを期す。
ロンドンを狙うのは、丹羽ばかりではない。
荻村杯こそ1回戦負けを喫したが、松平健太もまた、注目すべき選手だ。
兄の賢二とともに、5月の世界選手権に出場した二十歳の松平は、'06年の世界ジュニア選手権で日本人選手として初優勝を遂げ、「20年に一度の逸材」と称された。'09年からは3年連続で世界選手権代表に選ばれている。
「僕にはプレッシャーというものがありません」
かつて、こう語っていたのが印象的だ。
松平は、世界選手権開幕前、世界ランキングで水谷に次ぐ日本男子2位につけていた。順当ならシングルスで出場権を得られたはずだが、試合を前に風邪をひき、1回戦で格下の選手に敗れてしまった。その結果、岸川にランキングで抜かれてシングルスの代表を逃した経緯がある。それだけに、残り1枠への気持ちも強い。
普段はペアを組む丹羽と松平がひとつの枠を奪い合う。
実は丹羽と松平は、ペアを組む機会も多い。今年1月の全日本選手権でもこのコンビで、水谷と岸川のペアを破り、優勝している。
この2人で(むろん代表を争うのは2人だけではないが)代表を争い、2人のコンビで団体戦を戦えないというところも、複雑な気持ちがあるかもしれない。
いずれにせよ、残る枠は1。
日本男子は、団体戦で北京五輪は5位、世界選手権でも2大会連続で銅メダルと、メダルを視野におさめる位置にいる。
2人を中心とした代表争いは、競技力の向上にもきっとつながるはずだ。そしてそれは、悲願とするメダル獲得にもかかわることになる。
才能豊かな若手を中心とした争いは、来年まで続いていく。