ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER

関塚ジャパンのロンドン行きは確実!?
だが……敵はサッカーだけじゃない。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/07/13 10:30

関塚ジャパンのロンドン行きは確実!?だが……敵はサッカーだけじゃない。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

アウェイでのクウェート戦の時も、灼熱の暑さには翻弄された関塚ジャパン。サッカーの実力だけでは計れない壁が、アジア最終予選では待ち受けている

来年2月5日、アウェイのシリア戦が最難関となる。

 11月は、23日にアウェイでのバーレーン戦、27日にホームでシリア戦という2連戦がある。11月の中東は、6月のクウェートよりも暑さも軽減され、凌ぎやすくなるが、それでもしっかりと暑熱対策を講じてバーレーン戦に挑むことが必要になってくる。27日のホームは、敵地バーレーンからチャーター機で帰国する予定もあり、移動での疲労は最低限に抑えられ、戦うことができるだろう。

 最も重要な試合は、来年2月5日に行なわれるアウェイでのシリア戦だ。日本は、オフ明けで、試合勘はほとんどなく、選手のコンディションもなかなか上がらない状況での試合になる。実際、過去の予選、例えばドイツW杯1次予選のオマーン戦(久保竜彦のロスタイムでのゴールで1-0の勝利)、ドイツW杯最終予選の北朝鮮戦(大黒将志のロスタイムでのゴールで2-1の勝利)を見ても、2月の試合は内容的にかなり低調だ。

 また、ロンドン五輪を目指す今の選手たちは2次予選のクウェート戦で、暑さの影響があったとは言え、相手に傾いた流れを取り戻し、効果的な攻撃を仕掛けることができなかった。「新たにリーグ戦で活躍して新戦力が出てくることを期待したい」と関塚監督は言うが、期待通りに新しい選手が出てくるかどうかは分からない。前述したように、2月にコンディションが整わない選手も出てくるかもしれない。

香川、宮市、宇佐美らの欧州組を招集し、五輪への決意を示せ。

 そこで思い出されるのが、シドニー五輪の最終予選だ。初戦のアウェイのカザフスタン戦、トルシエ監督は初めて中田英寿を招集した。当時、中田はペルージャ(セリエA)で活躍し、五輪世代の選手にとっては雲の上の存在だった。その中田を招集し、「大事な初戦を取るんだ」という決意をチームに示したのだ。中田がチームに馴染むには、宮本らの尽力や時間も必要だった。

 だが、馴染むと中田の気迫が伝播し、チームは短期間で戦う集団になった。結果的にアウェイでカザフスタンを破り、チームは最高のスタートを切った。その1カ月後、勝てばシドニー行きが決まるカザフスタン戦で再度、中田を呼び、チームは逆転勝ちした。そうして、シドニーへの切符を手にしたのだ。

 この成功例のように、アウェイのシリア戦は、距離的に近く、シーズン真っ盛りの欧州でプレーし、コンディションのいい香川真司、宮市亮、宇佐美貴史らを招集し、万全の状態で挑むべきだろう。欧州組の香川らが参戦すれば既存の選手の目の色が変わり、意識も高くなる。何よりもシリアは、脅威に思うはずだ。欧州組の招集は困難を極めるだろうが、彼らが参戦して勝てば、残り2試合に向けて勢いがつく。

【次ページ】 高温多湿との戦いが鍵となるマレーシア戦。

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