スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
オアーとテイラーの皮肉な関係。
~映画『しあわせの隠れ場所』と
NFLの伝説的スーパースター~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by(c) 2009 ALCON FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVED
posted2010/02/07 08:00
『しあわせの隠れ場所』は2月27日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
「家族を守るつもりでQBを保護する」のがOTの役目。
逆にいうなら、テイラーの「革命」によってOTの地位は向上した。地味だったポジションに脚光が当てられ、オアーのようなタイプの選手がスターとなるきっかけが作られた。
それとオアーの場合、高校の編入試験を受けた際の心理テストで「保護本能がずば抜けて高い」という特性が明らかになったことも大きかったのではないか。映画のなかでは、OTの役割を呑み込めないでいる少年オアーに向かって、フットボール狂のリー・アンが「家族を守るつもりでQBを保護するのよ」と発破をかける場面が出てくる。比喩としては安直すぎるほどわかりやすい比喩だが、納得はいく。
監督は『オールド・ルーキー』を撮ったジョン・リー・ハンコック。原作の小説を書いたのはマイケル・ルイス。聞いたことがあると思ったら、あの快著『マネー・ボール』の作者だった。