野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
ロッテのスター、サブロー移籍の何故?
ファンの怒りと嘆きの声を聞け!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/06 12:40
7月1日に東京ドームで行われた中日戦で、移籍後初打席初本塁打を放ったサブロー改め大村三郎。「打席に入ったときにファンの方からの大歓声があってありがたかった」と試合後にコメントしている
第一報を聞いてひっくり返った。
横浜が再獲得したランドルフが1試合も投げずに解雇されたニュースではない。
6月29日、ロッテのサブローと巨人工藤+金銭のトレードの件である。
報道によると、「“低迷する打線のテコ入れを目指す巨人”と“俊足の外野手を求めていたロッテ”の思惑が一致」とのことだったが、こんな理由は、明らかにうわべだけのとってつけた理由であることは誰が見たって明らか。ロッテの大ヒット商品である「ビックリマン」でいえば、“ヘッドシール”と“お守りシール+ウエハース5枚”との交換ぐらいのものであり、プロ野球チップスカードにしたって、こんな取引きは小学生だって成立しないことはわかる。
トレード相手の工藤どうこうの話ではない。
あのサブローなのである。
ロッテの生え抜きスターであり、4番打者であり、選手会長であり、ライトスタンドのファンの大声援を目の前で受け続けていた、チームの心臓ともいうべき特別な選手。
FAで出て行かれるならばまだ諦めもつくだろうが、'09年のオフには「夢」と公言していたメジャー挑戦を封印して「生涯ロッテ宣言」をした選手。それをこんな形でシーズン途中に手放してしまうとは……マリーンズファンの失意たるや、想像に難くない。
慢性的な赤字経営という難しい事情があるのは分かるのだが……。
トレード報道の後に、熱狂的なファン何人かに話を聞いたが、怒りの矛先は当然のようにフロントへ向けられていた。
「意味がわからない。あまりにも露骨すぎるファンを無視したやり方に怒りが収まらない。このままじゃ次は福浦や今江が出されるんじゃないかと不安でしょうがない」(30歳・男性)
「ショックなことは間違いないですが、球団が移転したり合併騒動になるよりはマシと考えるしかない。でもいい加減、こんなことが続くようだと、いつかファンの心が折れると思う」(32歳・女性)
「瀬戸山と石川は●●●●●●●って●ね!」(25歳・男性)
……と、一部過激な表現があったので伏せ字にさせていただいたが、ともあれ、この不可解な放出劇、球団にも斟酌すべき事情があることはわかる。
特に要因のひとつとされる長年解決されずにいた球団の赤字財政は、日本一になった昨年でさえ20億円のマイナスと言われており、球団の方針としてFAは基本引き留めず、高額年俸選手を放出せざるを得ない状況を作りだしてきていた。