野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
ロッテのスター、サブロー移籍の何故?
ファンの怒りと嘆きの声を聞け!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/06 12:40
7月1日に東京ドームで行われた中日戦で、移籍後初打席初本塁打を放ったサブロー改め大村三郎。「打席に入ったときにファンの方からの大歓声があってありがたかった」と試合後にコメントしている
ロッテは選手を外に出すのに気前が良すぎるのでは?
数え上げれば、'05年の日本一後には歴史的名遊撃手の小坂を巨人に金銭トレード、'09年には久保を阪神に、昨年はエース清水直行らを今回同様不釣り合いなトレードで横浜へと放出。この間FAでも小林雅、薮田、橋本、小林宏らが、ポスティングで西岡がチームから離れていった。
これに加えてサブローなのだから、ハッキリ言って、気前が良すぎである。これではファンがフロントに対して不信感を抱くのも無理はない。
千葉市の財政赤字も相当なものだと噂を聞いているし、今年は球場のネーミングライツを売り「QVCマリン」となっている。震災の影響で収入面も落ちているというし、この不況が長引き口を開けば「経費節減」「経費節減」と世知辛くなった世間の冷たい風を肌身で感じる生活を鑑みれば、わからないでもない……いや、やっぱりわからない。何故ってサブローなのである。
入団当初はイチローのバッタもんと半笑いで見られていた高卒ドラ一の選手が、年月を経る度に成長を遂げ、レギュラーを掴み、つなぎの4番打者となり、日本を代表する選手となり、いまやイチローを連想する人は誰もいない、唯一無二のサブローとなった、あのロッテのサブローなのである。
移籍の処遇を間違えれば、チーム全体を左右する大事にも!?
全盛期より多少力が衰えていることも、高額年俸がネックになっていることもわかる。今季は5月4日に打撲をして二軍落ちしていたことも、大松、清田、岡田に加え、ルーキーの伊志嶺が台頭してきたことで、若返りの契機になったこともわかるが、功労者には功労者なりの別れ方があるってもんだ。
何も永遠にスタメンレギュラーで使えというわけじゃない。
移籍というものは、むしろ当該選手の出場機会を増やすこともあり、その移籍市場が活性化することは選手間の競争意識を煽り、球界全体の新陳代謝を活性化したりと、推奨されるべきことであるとも思う。
しかし、日本のプロ野球界は、メジャーやサッカーよりも、移籍に対してより閉鎖的で土着的な文化が強く存在する。特に新人の頃から成長を見続けてきた「生え抜き」に対するファンの思いは特別であり、過ごした年月が長ければ長いほど、思いは積み重なって行くのだから、その処遇を間違えればチーム全体を左右する問題にも発展してしまう。