杉山茂樹のサッカー道場BACK NUMBER
ファンを軽視して岡田監督支持表明。
「チェンジ」できないサッカー協会。
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byToshiya Kondo
posted2010/02/21 08:00
スタンドがガラガラとなった2月6日の中国戦。首都圏の週末でのこの不人気ぶりは深刻だ
「観客ならばこの試合にいくら払えるか?」という問い。
国立競技場で行なわれた先日の香港戦は、冷たい雨が断続的に降りしきるなかでの一戦だった。
ある知人は、修行僧になった気分で観戦したという。別の知人は、スタンドを埋めたエキストラとして、逆にお金が欲しいくらいだと言った。
味スタで行なわれた中国戦も、厳寒のなかでの一戦だった。そんななか高い入場料を払って見に来てくれたファンのことを、岡田サンはどう思っているのか。 岡田サンは、その試合後の記者会見でこう言った。
「サポーターまでは背負えない」
以前にも、観衆の不入りについて問われると、彼は「それは事務方に聞いてくれ」と、不機嫌そうな態度で語っている。
「お客様は神様です」とは言わなくてもいいが、自分が観客なら、この試合にいくら払えるかについては、絶えず自問自答するべきである。日本代表というエンターテインメントを、陰で操る演出家ならば。
日本代表はファン無しには始まらないという原点。
「あの人、やっぱり自分のことしか考えてない」とは、ライター仲間でよく交わされる言葉だが、続投宣言をした犬飼会長、それに同調した原強化委員長にも、同じことが言える。
日本代表は、ファンなしには始まらない。「応援しない」「見に行かない」が、圧倒的多数を占めるこの現状を、彼らはあまりにも甘く、軽く見ている。「いま代えるリスクは大きい」と彼らは言う。だが「いま代えないリスク」のほうが勝っていることは火を見るより明らかだ。
より良いモノをお見せしようとする感覚、価格以上の娯楽性を提供するサービス精神が、岡田サンや協会のトップには、決定的に欠けている。「いま」を正常な状態に戻さないと、4カ月後はない。僕はそう思う。
モノが売れないデフレの世の中と著しく乖離している岡田ジャパン。庶民が、庶民感覚を忘れた庶民的な顔をしたリーダーに、嫌気を催すのは当然だ。
岡田サンの年俸は1億円強と言われるが、そのお金の出どころはどこなのか。
「サポーターまでは背負えない」という岡田サンに、代表監督を務める資格はない。ファンは怒って当然。もっと怒るべきだと僕は思う。