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強豪校が集結する夏の甲子園、
“夢のカード”の実現なるか。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph bySPORTS NIPPON

posted2009/07/24 11:30

強豪校が集結する夏の甲子園、“夢のカード”の実現なるか。<Number Web> photograph by SPORTS NIPPON

“埼玉のダルビッシュ”と呼ばれる春日部共栄の中村勝。最速143kmのストレートにスライダー、カーブ、フォークのキレもよく、狙って三振の取れる大型右腕だ

 今年の高校球界を牽引するのは東北、関東、九州の3地区である。ここ数年中心勢力だった近畿、東海勢は来年以降に備え、爪を研いでいるといった状態にある。7月23日の時点で、夏の全国高校野球の地区大会に勝ち残っているチームの有力選手を挙げてみる。

【投手】 菊池雄星(花巻東)、下沖勇樹(光星学院)、中村勝(春日部共栄)、岡大海(倉敷商)、平井諒(帝京五)、梅田広久(秀岳館)、井川裕貴(ルーテル学院)、松永賢人(楊志館)

【捕手】 羽鳥尊(常総学院)、中村亘佑(横浜商大高)、小田太平(横浜)、河野元貴(九州国際大付)

【内野手】 筒香嘉智(横浜)、宮武佑磨(三重)、西田哲朗(関大一)、今宮健太(明豊)

【外野手】 四家祐雅(聖光学院)、堂林翔太(中京大中京)、秋山拓巳(西条)

 ここに名前を出したのは、そのよさに根拠が見出せる選手ばかりだ。たとえば中村勝は左肩の早い開きがなく、球持ちがいい。早く左肩が開かなければ打者はボールの出どころが見づらい。球持ちがよければ低めにストレートが伸び、さらに腕を振っているのにボールが指先から離れないため、打者の打つタイミングを狂わせる効果がある。こうした技術力に富んだ投手が中村だけでなく、菊池雄星、下沖勇樹など数多く揃っているのが今年の好投手の特徴である。

 野手に目を向けると、河野元貴はディフェンス優位の捕手でありながら、ミートポイントを捕手寄りに置いて広角にボールを打ち分けるバッティングに特徴がある。今年の高校球界を代表するスラッガー・筒香嘉智も、高校通算69本塁打が前面に出ているためパワーだけの打者と思われがちだが、本質はバッティングのテクニカルな理解が本塁打量産の原動力になっている技術系の選手である。

センバツ主催者の目論見がズバリ的中し、菊池雄星はスターへ。

 甲子園大会は単なるアマチュア競技の全国大会という枠を越え、国民的イベントとして親しまれている。名前がよく知られたスター選手が出場すればファンは喜ぶし、能力の高い選手が出場すれば好試合が期待でき、マスコミの注目度は増す。

 そういう主催者の思惑が好結果を招き寄せた好例が今春のセンバツ大会である。本来なら東北地区の出場校は、2008年秋季東北大会の優勝校と準優勝校のはずだが、選考する側は優勝した光星学院に次ぐ2校目に、準優勝の一関学院ではなく、菊池というスター候補がいる花巻東を選んだ。これが見事にはまって菊池は快投を続け、岩手県勢としては初の全国大会決勝進出を成し遂げる原動力となった。

【次ページ】 出場校が“野球の神様”によってのみ選ばれる夏の甲子園。

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