プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日ハムはチーム編成が上手過ぎる!
~藤井を見切ったそのチーム戦略~
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2009/12/04 10:30
日本シリーズ第5戦で7回まで巨人打線を散発4安打に押さえた藤井秀悟。シーズン終了後のFA宣言は、日本ハム首脳陣の起用法に不満があったためとも言われている
日本ハムはメジャー流!? ツインズのチーム編成術。
似たようなチーム編成をしているチームがメジャーにある。
今年もア・リーグ中地区で大逆転優勝したミネソタ・ツインズだ。大がかりな補強は一切せずに、自前の選手を育てて、あとはトレードでチームを作っていく。
このチームには今年のア・リーグのMVPのジョー・マウアーと2006年のMVPジャスティン・モルノーという生え抜き二枚看板がおり、投手ローテーションもスコット・ベイカー、ニック・ブラックバーンらファームから這い上がってきた投手陣が支えている。
その一方で2004年にはAJ・ピアジンスキーという中堅捕手と金銭で、サンフランシスコ・ジャイアンツからいまやメジャーを代表するクローザーのジョー・ネイサンとフランシスコ・リリアーノ、ブーフ・ボンサーの3投手をガメてくるという荒業も見せている。
そして何よりFAを宣言した選手には、自軍のエースだろうと見向きもしない。
昨年はあのヨハン・サンタナも引き留める素振りはまったくみせずにニューヨーク・メッツに移籍。その代償としてドラフト1位の権利を手にしているのだ。
ダルビッシュの移籍も容認。徹底した合理主義が強みだ。
「制度に則った移籍は認める方針です。選手を縛り付けるようなことはしない」
昨年、日本ハムの山田正雄GMはエース、ダルビッシュ有投手のポスティングによるメジャー移籍を容認することを表明している。
去る者は追わず。
7千万円の藤井が出た穴を1千万円の木田で埋める。徹底的な合理主義とチーム編成の眼力。それが日本ハムの強さの一端である。