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NBAの頂点に立つビリオネアに学ぶ、
プロチームのオーナーの資質とは?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNBAE/Getty Images
posted2011/06/26 08:00
ホームコートであるアメリカン・エアライン・センターへ凱旋したマーク・キューバン。今年52歳になるキューバンだが、大学時代に起業して折からのITバブルにのって巨万の富を築いた、アメリカの新しい時代の実業家である
お家騒動のドジャースを買収してMLBの経営にも参画!?
アメリカのプロスポーツ界で、もっとも保守的な風土を持つのがメジャーリーグであり(保守リベラル、規制をあまりかけない自由主義経済)、現在、野球にたずさわっている経営者たちにとって、キューバンはとにかく目障りな存在にしか過ぎないだろうと思う。
しかし今ではどこかの球団の経営危機が叫ばれるたび、必ずと言っていいほどキューバンが「興味を持っている」と報道されるようになった。
いま、ロサンゼルス・ドジャースはオーナー夫妻のお家騒動で経営が不安定になっているが、キューバンが経営に興味を持っていると当然言われている。
NBAに奇跡を起こした男ならMLBにも風穴を開けられるのでは……。
バスケットボールと野球とでは、経営方針や強化の方法も違う。しかし、ダラスに奇跡を起こした男が、メジャーリーグの世界でもひと波乱起こしてくれないか──。そんな希望を持ってしまったりする。
オーナーとは、かくも影響力のある存在であり、その情熱がチームを変えるのだ。
ダラスで行われた優勝パレードで、「サンキュー・マーク!」とファンに連呼された時のオーナーの感激は、どれほどのものだったか。
生まれたからには、一度はプロスポーツチームのオーナーになってみたいと思うが……これは夢想に過ぎませんな。