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NBAの頂点に立つビリオネアに学ぶ、
プロチームのオーナーの資質とは? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2011/06/26 08:00

NBAの頂点に立つビリオネアに学ぶ、プロチームのオーナーの資質とは?<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

ホームコートであるアメリカン・エアライン・センターへ凱旋したマーク・キューバン。今年52歳になるキューバンだが、大学時代に起業して折からのITバブルにのって巨万の富を築いた、アメリカの新しい時代の実業家である

「ドアマット」球団を優勝にまで導いたオーナー。

 チーム取得から11年、キューバンの功績はNBAの「ドアマット」、要は踏みつけられるだけの存在だったマーベリックスを常勝軍団に育てたことである。

 オーナーとして初のフルシーズンとなった2000~2001年から、マーべリックスは11年連続でプレーオフに駒を進めている。その前は10年連続でプレーオフに出られなかったチームだったのに……。

 オーナーの熱意が「変革」をもたらしたのだ。

 球団専用機の購入、ロッカーにはひとり1台プレイステーションが置かれていたのも懐かしい。すべて、オーナーが選手に「プライド」を持ってもらうための表現だった。

 キューバンは選手のトレードにも積極的に関与し、なかでも2004年のシーズン終了後、チームの中心選手だったスティーブ・ナッシュを積極的に引きとめなかったのは、多くの議論を呼んだ。

 そして2006年にはNBAファイナルに進出、2連勝のあとに4連敗という結果に終わり、雪辱を期した翌シーズンはレギュラーシーズンでトップになりながら、プレーオフでは1回戦で敗れた。

「もの言うオーナー」としてキューバンはどう動いたのか?

 山あり、谷あり。しかしキューバンのスタイルは変わらず、コートサイドでTシャツで観戦してはレフェリーに文句を言い、罰金を科せられる――その繰り返しだった。

 キューバンはもの言うオーナーだから、なにかにつけて周囲から睨まれてきた。Tシャツで観戦するオーナーなど、他のチームのオーナーたちから見ればほとんど異人種ともいえる存在だ。だが、チームの力はますます安定していき、ダラスでのバスケット熱はこれからも高まるはずだと思わせる勢いがある。

 彼は才人なので、バスケットだけでなく様々な分野で活躍していて、映画のプロデューサーや、アメリカでのテレビにおけるハイビジョン化の強力な推進者でもあった。

 もともとスポーツ好きだし、資金にも余裕があるから、2008年にはシカゴ・カブスの買収に本気で乗り出したが、その過程でキューバンに不利な報道がされるなど、最終的に買収は実現しなかった。

 個人的な意見だが、買収の重要な時期に不利な情報が流れたのは、偶然ではないと思っている。

【次ページ】 お家騒動のドジャースを買収してMLBの経営にも参画!?

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