野球クロスロードBACK NUMBER
楽天復活の鍵はキャプテンか?
鉄平が「詰まる」打撃で完全復活。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/06/27 11:35
鉄平の復調に関して、仁村徹作戦コーチは「鉄平の調子は戻りつつあるけど、まだこんなもんじゃない」とこれからのさらなる伸びを期待する
凡打でも、その原因を把握していれば大丈夫。
打撃技術について話を聞いた際、彼はこのようなことを言っていた。
「感覚的な話になるんですけど、自分のバッティングが崩れ『多分、どこかがズレているんだろうな』と思いながら次の試合に出て、それでも打てない日が続くのがすごく嫌なんですね。でも試合に出ている以上、何とか修正していかないといけないわけで。なので、打てなくなったときは凡打のなかでも『ここがおかしくなっていたんだ』と、はっきりと理解できるように打席に立つようにはしています」
交流戦を終え、ようやく見えてきた復調の兆し。
打撃が復調しないまま交流戦を迎え、この期間の打率も2割3分3厘。不振は続いていたが、ペナントレースが再開後ようやく鉄平のバットから快音が響くようになる。
6月24日から始まった西武との4連戦。
初戦で3打数1安打を記録すると、第2戦では過去2年間の対戦で得意にしている涌井秀章から2安打を放つなど5打数3安打の猛打賞。チームの勝利に貢献した。
そして第3戦。
4打数1安打と、前の2戦と比較すると成績では見劣りするが、この試合で放った安打は鉄平本来の打撃が戻ってきたと確信させるものがあった。
西武先発、石井一久のやや内角寄り、高めの速球をミートポイントぎりぎりまで呼び込み、レフト前にライナーで弾き返す……。
鉄平が言うところの「詰まる」打撃が完璧にできていた。
「ほとんどのバッターって打球が『詰まる』のが怖いというか、できればそうならないようなバッティングをするものだと思うんですよ。でも、絶対に打球が詰まってしまうことはあるわけで。だったら、それを受け入れた上でバットヘッドを走らせることを意識すれば、バッティングの幅は広がるんじゃないか。そう思うようになったことでうまく打てるようになりました」