野球クロスロードBACK NUMBER
楽天復活の鍵はキャプテンか?
鉄平が「詰まる」打撃で完全復活。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/06/27 11:35
鉄平の復調に関して、仁村徹作戦コーチは「鉄平の調子は戻りつつあるけど、まだこんなもんじゃない」とこれからのさらなる伸びを期待する
打率2割2分7厘――。
2009年に首位打者に輝き、昨シーズンも3割1分8厘と高打率をマークした鉄平だが、今シーズンは6月26日時点で打率ランキング30傑にすら入れないほど低迷している。
いや、低迷というより、そもそも開幕から一向に打率が上がらないのだ。
5月に入っても打率は下降線をたどる一方で下旬には遂に2割を切った。再三にわたりチャンスで凡打を繰り返す鉄平に指揮官の星野仙一は「その名前を出すな!」と怒りを露わにし、本人も「なんで(打てない)か分からない」と本音を漏らす。長いトンネルに迷い込んだどころか、その道程にある泥沼に両足をとられ身動きが取れなくなってしまった、というべきか……。それほど今シーズンの鉄平の打撃は深刻な状態に陥っている。
打撃不振を招いたメンタルと打撃の「ズレ」。
考えられる原因はいくつかある。
まず、今季からキャプテンとなったこと。球団初の大役に抜擢された日、鉄平は自分の立場についてこのように抱負を述べた。
「監督などからも『引っ張ってくれ』と言われているので、自覚してプレーしていきたいとは思っています」
キャプテンという肩書。
打者としてはもちろんだが、チームリーダーとしての期待も加味される。「『打つんだ』と気負いすぎると、見えるものも見えなくなってしまう」と以前、鉄平は言っていたことがあるが、無意識のうちに気持ちが昂りすぎてしまったがゆえに、打撃に力が入りすぎていたのかもしれない。
そして、東日本大震災の影響。
被災地の宮城県をホームグラウンドとする楽天は震災以降、地元に戻ることができず長らく出張試合を強いられてきた。選手としては言い訳にしたくない要素ではあるだろうが、やはり調整不足は否めなかっただろう。
ただこれらは、他者が感じた精神面での理由づけ。具体的に打撃面に目を向けたとき、何が鉄平に弊害をもたらしているのか?