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英国で「ルーニーする」が流行る!?
“神童”の植毛カミングアウトの余波。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2011/06/23 10:30
リゾート地でオフシーズンを過ごすルーニーの姿がスクープされた時の写真。右前頭部に手術跡が残っているが、明らかに以前よりも若く見える。来季のスタート時も頭部に注目が集まるのは必至
オーウェンはルーニーを「顔は12歳だけど頭は60歳だ」。
チームメイトたちも、控え室でルーニーを茶化してきたに違いない。
ロナウドからは「ボビー・チャールトン」とのあだ名を頂いたという。チャールトンと言えば、マンUとイングランド代表の偉人としてしられる往年の名ストライカー。だが、すだれのように横分けにしていた髪型に対する悪評は、選手としての名声に負けず劣らず高い。20代のルーニーにすれば、選手として喜んでいいのか、青年として悲しむべきなのか、微妙なニックネームだ。
つい最近も、ツイッターのプロフィール写真を観たマイケル・オーウェンに、「顔は12歳だけど頭は60歳だな」とつぶやかれたばかり。「そこは踏み込んではならない領域でしょう」と返信したルーニーの心境は複雑だったことだろう。
ギグスを反面教師に!? ゴシップ報道に釘を刺したカミングアウト。
結果として、約180万円とも言われる費用を投じて植毛に踏み切ったルーニーは、額のラインの上昇にストップをかける一方で、有名人男性としての株を上げた。
隠し立てをしなかった勇気が讃えられているのだ。
但し、手術直後の告白が当初からの意図だったかどうかは分からない。ロンドン市内のハーリー・ストリートで直撃された時点では、ノーコメントで現場を去っている。だが、整形外科などの専門クリニックが立ち並ぶだけの通りを訪れた理由は、ほぼ通院以外にはあり得ない。
しかも、当日のルーニーは、夏日の暑さの中で、帽子の上にパーカーのフードまでかぶっていた。1年ほど前にも育毛治療説が流れたルーニーが、頭髪に関して何らかの治療を受けたと騒がれるのは時間の問題だったはずだ。そこで当人は、ならば自分から、と先手を打ったとも考えられる。
ちなみに、昨年の噂は、ライアン・ギグスが育毛治療を受けていた事実が発覚したことによって浮上したものだ。そのギグスは、5月後半に不倫疑惑の報道差し止めを巡って渦中の人になったばかり。マンUでプロの手本と崇められていた先輩のイメージが低下する一方で、問題児的なイメージが強かった後輩の行動は「潔い」と賞賛された。