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アトレティコサポーターがデモ行進。
リーガ名門クラブが崩壊の危機へ。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byGetty Images
posted2009/09/25 11:30
リーグ第2節ラシン・サンタンデール戦では得点3分後にすぐさま得点を返され1-1のドロー。15日CLアポエル・ニコシア戦も0-0のドローに終わったアトレティコ・マドリー。ファンにとってはスッキリしない成績が続く
ファンからの信用を失った経営陣は追放されるのか?
もはや、サポーターたちに対してなんら信頼を勝ち取ることができなくなっているセレソ会長とヒル・マリンGM。それどころか新スタジアムの建設工事を請け負うのはヒル・マリンGMが関係する会社で、ビセンテ・カルデロン売却と新スタジアム建設は彼の私腹を肥やすためではないかという噂まで囁かれ始めている。そして、現在の泥沼の状態を生むきっかけとなったのは、90年代にクラブの財政を顧みない経営を行った故ヘスス・ヒル(ヒル・マリンGMの父)であることから、「ヒル一家とその一味はアトレティコから立ち去れ」という言葉がアトレティコサポーターの合言葉となっている。
チャンピオンズリーグ戦前に行われた抗議デモで配られたビラにはヒル一家とセレソ会長の“罪状”が書き記されている。
1. 14年間、無冠。
2. 恩恵なきスタジアム売却。
3. クラブ最高権力の窃盗。
4. クラブの威厳の喪失。
5. 45人の監督交代。
6. 200人の選手入れ替え。
7. 計5億ユーロの負債。
'99-'00シーズンに二部降格しても、翌シーズンには年間シートの購入が伸びるなど、アトレティコは多くの熱狂的なサポーターによって支えられてきた。そして今、アトレティコサポーターたちは、彼らが認めないクラブ幹部追放のために動き出した。果たしてこの動きがアトレティコを変える火種となるのか、それとも現クラブ幹部たちが生き残るのか。開幕早々、アトレティコはピッチ外でクラブの未来を左右する岐路に直面している。