日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
長谷部が誇る“世界基準の判断力”。
香港戦初ゴールの25歳は急成長中!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/11/19 14:30
チームにも自分のプレーにもアクセントをつけられる男。
この香港戦では攻撃の変化を意識する長谷部のプレーが多々あった。後半に入ってもサイド偏重が続いていると、長谷部は効果的に縦パスを増やすようになる。裏にも目を向け、22分には内田篤人を、同27分には松井大輔を相手の背後に走らせている。直接、得点に結びつかなかったとはいえ、変化をつけた効果はあった。香港に対して揺さぶりをかけ、ディフェンスの的を絞らせなかったことが、後半30分からの3ゴールにつながったのだ。
また、チームにアクセントをつけるだけでなく自分のプレーにもアクセントをつけている。試合の終盤、縦パスを送ると同時に自身も前線へ向かうパターンを増やしたのだ。
「パワーをためておいて、後半の大事なときに質の高い動きで前に出て行けば、必ず有効な動きになる」と昨年、中村俊輔に受けたアドバイスを肝に銘じているようだ。終盤に持ち味を出せなかったオランダ戦の反省もあっただろう。自身の推進力、馬力を勝負どころで使うことを特に意識しているように見えた。
今年最も飛躍を遂げた選手こそ長谷部ではないか?
岡田ジャパンはこの香港戦で2009年の全試合を終えた。ワールドカップ最終予選を経て、二度の海外遠征を体験し、今年最も飛躍を遂げた選手がこの長谷部ではないだろうか。代表の活動がオフの間にも、ドイツの強豪ヴォルフスブルクで揉まれ、欧州チャンピオンズリーグ出場の経験も重ねていくだろう。発展途上の25歳。常に世界基準を意識してプレーする長谷部は、まだまだ進化の過程にある。