欧州CL通信BACK NUMBER
“楽しむサッカーと衝突するサッカー”
バルサは欧州の王になるべきだ。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byTakuya Sugiyama
posted2009/05/27 11:01
国王杯、リーガを制したバルセロナは三冠に向けて残された最後の決戦を前に街中が「Blaugrana(青と臙脂色)」に染まり始めている。
バルセロナ在住で老舗新聞「LA VANGUARDIA」紙でバルセロナ番記者を務めるフィリップ・ビバンゴ氏は決戦を二日後に控えたバルセロナの様子をこう語る。
「バルサは誰もが認める最高のサッカーをしてリーガ、国王杯を獲得した。これはカタルーニャの人々にとって誇るべきことであり、誰もがバルサこそが欧州のチャンピオンになるべきだと信じている。街のあらゆる建物のベランダや、窓にはバルサの旗が掲げられ、ローマでの決戦を待っている。マンチェスター・ユナイテッドは素晴らしいチームだ。だが、もしもサッカーの神様が公平ならば、優勝カップが持ち帰られる場所は、ここバルセロナであるはずだ」
マンUの電光石火のカウンターへの不安。
ビバンゴ氏が語るように、バルセロナは圧倒的な攻撃力によって二冠を達成し、チャンピオンズリーグ決勝戦にまで駒を進めてきた。バルセロナファンのみならず、スペイン全土がバルサこそが今季の欧州王者に相応しいと思うのは当然だろう。だが、決勝戦を戦うバルセロナは万全の状態とは言えない。
守備の要マルケスが負傷離脱し、右SBアウベスと左SBアビダルが出場停止で決勝戦には出場できず。そのため、グアルディオラ監督はMFヤヤ・トゥーレをCBに、右SBにプジョルを起用することを決めたようだが、左SBにはMFケイタとシウビーニョのどちらを起用するか未だ決めかねているようだ。
いずれにせよ、急造の最終ラインでマンチェスター・ユナイテッドが誇る電光石火のカウンターを迎え撃つ不安は拭い去れない。
こうなると中盤と前線が粘り強くボールを保持して、確実にチャンスをモノにしなければバルサに勝機はない。
メッシ、シャビ、エトーらが怪我もなく、万全の状態でローマに乗り込めることはバルサにとっての朗報だ。また右膝の靱帯を痛めていたアンリも22日に全体練習に復帰し、決勝戦には出場できるだろう。さらにチェルシーとの準決勝第二戦目で劇的なゴールを決めたものの、その直後に右太腿を痛めて離脱したイニエスタも24日のチーム練習に復帰し、決勝戦には間に合う見込みだ。