Jリーグ観察記BACK NUMBER
完成されたカウンターは美しい。
川崎フロンターレ躍進の秘密。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2009/08/15 08:00
J1屈指の破壊力を誇る川崎フロンターレの攻撃のタクトを振るう中村憲剛
関塚監督が仕掛ける「ポジショニングの謎」を解明せよ。
川崎のカウンターの秘密は、バックパスにあるのでは?
練習場で関塚隆監督を呼び止めると、「確かにうちは前へ速いよね」と、いたずらっぽく笑った。
「そうだね。カウンターにおいて、バックパスを減らすことにはこだわっている。バックパスがあるたびに、時間がかかるし、ミスも増えるからだ。でもね、こだわっているのは、それだけじゃないんだよ」
関塚監督は続けた。
「逆にうちは、カウンター狙いの1本調子になってしまう方が怖い。いかにリズムをつけられるか。あと、カウンターには(ピッチを広く使うという)幅も大事だ」
では、カウンターで最も大切な鍵とは?
「それは言えないなぁ(笑)。まだシーズン中だからね。それはみなさんが、試合を観て、気がついて欲しい。ただし、ヒントだけは教えてあげよう。それは『ポジショニング』だ。選手たちにはその鍵となることを、映像を使って説明したり、トレーニングで意識させている」
関塚監督は「うちはもともと3バックだったので、前に人数をかけるのは得意」とも言う。もしかしたらカウンター時に、人数を割いて攻撃することに関係しているのかもしれない。また、FWの黒津勝は「いいカウンターを仕掛けるための、守備のブロックを作る意識が高い」と言い、GKの川島永嗣は「相手の陣形が崩れているところを狙う」とも言っていた。
今回のコラムでは、川崎のカウンターの秘密の一端には触れられたが、一番大事な『ポジショニングの謎』の答えは得られなかった。もし興味を持った方がいたら、ぜひ等々力陸上競技場に足を運んで、この謎解きに挑戦してみて欲しい。