オリンピックへの道BACK NUMBER
浅田、鈴木らが五輪代表へ。
全日本選手権、その舞台裏を見る。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2009/12/29 10:30
「オリンピックを目指すのは今回が最後です」
こうして、全日本の成績は鈴木が2位、中野が3位。鈴木は今シーズン、グランプリ・ファイナルでも3位となっている。
大会後、選考会議が始まり、やがて代表が発表された。
選ばれていたのは、鈴木だった。
日本スケート連盟の伊東秀仁委員長は両者の選考について、こう説明する。
「(世界選手権に3度出場しすべて5位以内の)中野の実績、左肩の故障も考慮しましたが、今シーズンと、全日本選手権の成績を踏まえました」
選ばれた鈴木は笑って言った。
「自分のスケートを世界の人に見てもらえるように頑張ります」
オリンピック出場を逃すことになった中野はこう口にした。
「オリンピックを目指すのは今回が最後です」
その姿は、どこか寂しくもあった。
「目標は複数のメダル獲得です。代表全員にチャンスが」
浅田も含め、選手誰もが今シーズン最高の演技をしようと臨んだ、そしてオリンピックにかける思いがぶつかりあった大会は終わった。
女子は安藤、浅田、鈴木。
男子は織田に続き、全日本選手権優勝の高橋大輔、全日本3位の小塚崇彦が代表に選ばれた。
伊東委員長は、バンクーバー五輪に向けての抱負を語った。
「目標は複数のメダル獲得です。代表全員にチャンスがあります」
代表選考という独特の緊張感の中で渾身の演技を見せて、切符をつかみ取った経験は、オリンピックでも生きるはずだ。
チャンスはある。
そのために、大会までの残る時間にさらにどこまで磨けるか、再び襲うであろう重圧に打ち勝てるかが、鍵となる。