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家長所属のマジョルカが降格危機。
最終節に待つのは天国か地獄か? 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2011/05/18 10:30

家長所属のマジョルカが降格危機。最終節に待つのは天国か地獄か?<Number Web> photograph by AFLO

崖っぷちのチームを1年間率いてきたラウドルップ監督(右)とフェレール副会長。1997-1998シーズン以来13年間守り続けてきた1部リーグ所属は、どうなる?

 5月8日に行われたリーガ・エスパニョーラ第35節、マジョルカ対ビジャレアル戦のキックオフ前。両チームの選手達がピッチに入場した際、マジョルカのサポーターが陣取るゴール裏のスタンドに真っ黒の巨大な横断幕が現れた。その横断幕には、次のフレーズが白い文字で書かれていた。

「UN SENTIMIENTO COMO ESTE NUNCA LO PODRÉIS COMPRAR」
(このような感情は、お前らには決して買うことはできない)

 昨年7月、マジョルカは昨季の国内リーグ5位により獲得したヨーロッパリーグの出場権をUEFAから剥奪された。そしてマジョルカが抱える多額の負債がUEFA主催大会の出場基準に反すると訴え続け、繰り上げで代替出場権を獲得したのが昨季7位のビジャレアルだった。

 ゆえにマジョルカのファンにとってこの試合は、特別な因縁を持つ一戦となったのだった。

大胆なコスト削減案を実行し、チームは生まれかわったが……。

 過去にマジョルカ、ベティス、バルセロナらを監督として率いたロレンソ・セラ・フェレールがマジョルカの買収を発表したのは、UEFAから非情の宣告を受ける一カ月ほど前、昨年6月末のことだ。

 マジョルカ島サ・ポブラの出身であり、マジョルカでの成功により監督として名を挙げた恩もある彼は、当時7000万ユーロにも上ると言われた負債により消滅の危機に瀕していた地元クラブの再建に乗り出した。

 マジョルカの大株主となったフェレールは緊急時に暫定監督を務めることも視野に入れ、会長ではなく副会長兼スポーツディレクターというポストに就任。彼が第一に着手したのは、昨季1800万ユーロの赤字を出した年間収支を改善すべく、トップチームにかかる経費を大幅に削減することだった。

 そのためまずフェレールは、昨季の躍進の立役者である一方、200万ユーロという破格の年俸契約を結んでいたグレゴリオ・マンサーノ監督との契約を解消し、ミカエル・ラウドルップ現監督を年俸60万ユーロで招へいした。さらにボルハ・バレーロ、マリオ・スアレス、アリツ・アドゥリスといった高額年俸の主力選手を軒並み放出。並行して既存選手の年俸をクラブ財政に見合った額に見直すことで、チームの年俸総額を昨季比800万ユーロ減の1600万ユーロまで削減することに成功した。

【次ページ】 会社更生法が適用され、自由な選手獲得までが困難に。

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