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2010年の星たち。 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

PROFILE

posted2006/07/24 00:00

最後まで残ったのは、フランスが誇る新鋭。

 ロッベンやフェルナンド・トーレスが早々と消え、さらにメッシも去ったドイツ大会、終盤戦で急速に浮上してきたのがフランスのリベリーだ。いままで挙げてきた選手たちは、すでにある程度の地位を築いているが、リベリーはこの大会が実質的な世界デビュー。昨季、フランスリーグの最優秀選手に選ばれた実力を、この大舞台で披露した。

 決して大きくはないリベリーだが、メッシと同じように速さと早さ、正確さを持っている。細かいタッチで敵を幻惑し、タッチライン際を綱渡りするように抜けていく。年老いたジダンに攻撃の多くを依存するフランスにあって、彼の切り崩しは貴重な武器だった。値千金の同点ゴールを決めたスペイン戦では、敵を目の前にして右足首にボールを乗せて静止するという芸当を見せ、観衆を沸かせた。

 ベスト4が決まった時点で、目立っているのはベテランたちの活躍だ。バラックやクローゼ、ピルロやブッフォン、ジダンにフィーゴと大御所たちが輝いている。その意味では、時計はあまり進まなかったのかもしれない。だが、若者たちには明日がある。

 スペイン対フランスの激闘を見届け、トラムに乗り込むと、すっかり上機嫌のフランス人が何事か叫びながら近づいてきた。

 「リベリーを見たか!?あいつは近い将来、ジダンになる。憶えておけ!」

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