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マラドーナの遺伝子を受け継ぐ者たち。 メッシ/テベス/アグエロ ~母国での評価は?~ 

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中谷綾子・アレキサンダー

中谷綾子・アレキサンダーAyako Alexandra Nakaya

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photograph byTsutomu Kishimoto

posted2009/09/26 08:00

マラドーナの遺伝子を受け継ぐ者たち。 メッシ/テベス/アグエロ ~母国での評価は?~<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto

【セルヒオ・アグエロ】 1988年6月2日、ブエノスアイレス生まれ。'06年、A・マドリーにクラブ史上最高額で移籍。昨季は37試合で17ゴール。174cm、74kg

仲間思いで兄貴分のテベスこそ皆から愛されている。

 テベスは幼い頃の体験からか、適応能力に長けていた。しかし、どこでプレーしようと主役格ではなく、不思議とチームの陰の中核選手となる。それはやはり彼の生い立ちからくる謙虚さかもしれない。

「ブエノスアイレスでは、暴力沙汰や強盗が起こると、まずフエルテ・アパチェ出身の連中がやったと言われるんだ。でも、そこに僕のルーツがある。人としてのあり方、リスペクトの心、すべてを学んだから、フエルテ・アパチェ出身であることを誇りに思っている。そして今、安全な場所でサッカーに明け暮れることが許された人生を、何よりも神様に感謝している」

 クラブでも代表でも仲間思いで、メッシやアグエロの兄貴的存在である。テベスの気遣いや思いやりは、苦しい政治状況、経済状況を共に生きる国民として、サポーターやメディア関係者をも共感させてきた。

メディアもテベスの優しさや礼儀正しさを絶賛。

 代表を追い続けるベテラン記者たちは口々に、「昔も今も、サポーターを誰よりも大切にする子だ。チーム関係者が止めようと、サインや写真を求められれば、最後のひとりにまで心を配る。代表合宿で2時間近くファンサービスを止めなかったことがあったが、それも1回や2回に限ったことではない」と、テベスを賞賛する。

「プロになった以上、僕らにはたくさんの責任が伴う。昔は、ひとつの取材だけで済んだのが、今は、20近い取材を1日にこなさないといけない日もある。でも、僕を応援してくれる人たちを目にすると、リケルメのサインが欲しくて血眼になっていた頃の自分が見えるんだ。僕の存在が、誰かのちょっとした幸福に繋がるのであれば、無視なんてできない」

新時代の到来を予感させるアグエロの華々しいデビュー。

 ブエノスアイレスの郊外で生まれ育ったセルヒオ・アグエロは、テベスとまではいかないが、同じく貧困地区の出身である。'03年、弱冠15歳で、マラドーナのアルゼンチンリーグ最年少出場記録を更新したことで大きなセンセーションを巻き起こした。

 地元新聞社“Clarín(クラリン)”のベテラン記者が当時を振り返る。

「たどってきた生活環境だけでなく、マラドーナの記録を更新したことにアルゼンチン中が大騒ぎとなった。英雄を連想させる、華々しいプロデビューに、多くのサポーターが新時代到来を予感させられたんだよ」

【次ページ】 欧州のビッグクラブによるアトレティコのアグエロ争奪戦。

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